著者
山田 真紀 藤田 英典
出版者
椙山女学園大学教育学部
雑誌
椙山女学園大学教育学部紀要 = Journal of the School of Education, Sugiyama Jogakuen University (ISSN:18838626)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.111-127, 2022-03-01

同じ質問項目を用いた二つの質問紙調査PACT1995とNAPP2018を用いて,この22年間に,教員の意識のうち「同僚との関係性」「学校の役割範囲」「教職観や働き方」の3点においてどのような変化があったのかを統計的に明らかにすることを試みた。その結果,①同僚性については,同僚との関係性が希薄化し,同僚関係を負担に感じる教員が増加しているとともに,他の教師の学級経営について議論の俎上にあげていた風土も,余計な軋轢を避けるための不干渉へと移りつつあること,②学校の役割範囲については,生活習慣・基礎的学力・受験学力・思いやりなどの社会性を学校の役割範囲ととらえる割合が低下し,限定的な教職観を持つ教員が増加していること,③教職観や働き方については,教職のサラリーマン化ともいえる傾向が進み,あまり努力することなく,熱意を持つこともなく,淡々と勤務するタイプの教師が増えていること等を明らかにすることができた。