著者
堀内 成子 近藤 潤子 大川 章子 石井 ひとみ 大久保 功子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.42-53, 1988-12-25 (Released:2010-11-17)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

本研究は, 妊娠の進行に伴う睡眠の変化を明らかにするために, 妊婦の睡眠の主観的評価を分析することを目的に行った。調査票は「入眠および睡眠中の関連因子群」,「起床時の関連因子群」,「睡眠全体の満足度」,「睡眠に関する影響因子」を含めて構成し、289例の妊婦から有効回答を得た。その結果, 妊娠の進行に伴う変化では, 初期には非妊期に比べて途中覚醒が多く,「眠い」という睡眠に対する欲求が強く現れていた。中期になると, 初期に比べて睡眠に対する欲求は落ち着きを示していた。末期になると, 寝つきが悪くなる・眠りが浅くなる・時間が不足する・途中覚醒が多くなるという状態から, 睡眠全体に不満感が高まるという関係が示された。初産婦では, 妊娠初期に夜中の途中覚醒に対して「いやだ」という否定的な回答が多く, 妊娠が進行するにつれて, その比率は減少していた。影響因子として, 妊娠に伴う身体変化のほかに, 家庭のサポートが認められた。