著者
大平 幸一郎 高畠 知行 三上 貴仁 柴山 知也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.56-66, 2017 (Released:2017-09-20)
参考文献数
21

東北地方太平洋沖地震の直後,震源から遠く離れた山梨県の湖やノルウェーの湾など複数の場所で津波の様な異常な水位変動が目撃された.同様の水面変動はこれまでに稀に報告されてきた.しかしながら,具体的な波の発生機構や評価手法は確立されておらず,本現象そのものに対する認識や防災意識は低い.本研究では,定量的な影響評価手法の選定と本現象による水害リスクの把握を目的に,現地調査や目撃情報等の収集・整理により発生要因を実地形でのスロッシング現象と推定し,三次元解析での再現を試みた.実験結果との比較により解析手法の妥当性の検証を行った上で過去の事例の再現と将来予測を行った.その結果,本解析手法により異常な水面変動を再現できること,津波とは別の地震直後の内陸部の湖や湾奥部の運河における水害リスクを明らかにした.