著者
大木 一夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、古代語の活用体系・連体形の機能の分析をおこない、古代語の連体形がいかなる文法形式であったのかを明らかにするものである。平安時代における連体形の基本的機能は、連体修飾機能と準体句形成機能である。係り結びは、現代語のスコープの「のだ」とほぼ同等の機能をもつと考えられ、係り結びの連体形も準体句を形成するものである。また擬喚述法の連体形も準体句と考えられる。連体形は、平安時代以降変遷するが、この準体句形成機能が退化し、それにより連体形終止の一般化と、係り結びの衰退が引き起こされたのだと考える。
著者
竹田 晃子 大木 一夫 作田 将三郎 鑓水 兼貴
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

伝統的方言が急速に衰退する現在、従来のような方言話者への面接調査は困難になっており、近い将来、方言研究は過去の資料を元に行われると予想されている。一方、戦後の方言研究は、明治・大正・昭和期の貴重な資料を放置してきた。方言を含む日本語の研究を発展・継続させるために、調査資料が失われないうちに、過去の調査資料を積極的に分析対象とした方言研究を始める必要がある。本研究は、旧東北帝国大学教授・小林好日による「東北方言通信調査票」約7,500冊を整理・入力・公開することで調査データを後世へ引き継ぎつつ、分析結果を論文化することで現代の面接調査では得られない言語事実や方言史を解明することを目的とする。