- 著者
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大林 啓吾
- 出版者
- 千葉大学法学会
- 雑誌
- 千葉大学法学論集 = Chiba journal of law and politics (ISSN:09127208)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.3, pp.132-98, 2015-01
本稿は、2014年3月に出した拙稿「休会任命をめぐる憲法構築」の続編である。前作では、休会任命の歴史的展開を概観しながら、特に会期内休会任命の是非や欠員の時期など休会任命の射程をめぐる憲法構築を考察した。休会任命に関する憲法構築は、主として政治部門によって形成されてきたが、その射程については時代や状況によって変化してきた。ただし、下級審レベルでは、司法の場に争いが持ち込まれることもあった。これまで、連邦高裁は大統領が行った休会任命を合憲と判断してきたが、Noel Canning v. NLRB連邦高裁判では初めて違憲判決が下され、注目を集めていた。そして、2014年6月26日、その上告審判決が下された。休会任命の憲法構築を語るにあたり、この連邦最高裁判決の分析は欠かせない。本件は、これまで政治部門間で実践されてきた休会任命をめぐる憲法構築に関して、連邦最高裁が介入したことで注目されると同時に、その判断方法につき原意と近時の慣行のどちらを優先すべきかという問題が浮上し、原意主義をめぐる問題が付随しているという点でも興味深い。また、本件の結果が大統領と上院のどちらに有利になったのかについて大統領側と上院側で受け止め方が異なっており、その分析も重要である。本稿では、NLRB v. Noel Canning連邦最高裁判決に焦点を絞り、本判決の分析を試みることにしたい。