著者
牟田口 祐太 大森 勇門 大島 敏久
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.18-26, 2014-12-20 (Released:2015-12-20)
参考文献数
21
被引用文献数
6 3

近年,多くの生物細胞にさまざまなD-アミノ酸が遊離や結合状態で存在し,L-アミノ酸とは異なる生理機能を持つことがわかってきている.加えて,多くの食品素材にもD-アミノ酸が見出されており,その食品機能の解明と食品産業への応用展開が注目されている.本稿では食品中D-アミノ酸の分析方法,代表的発酵食品である食酢中のD-アミノ酸分析によって明らかとなった乳酸菌のD-アミノ酸生産への関与,および乳酸菌から見出されたD-アミノ酸代謝関連酵素の酵素学的特徴について紹介する.
著者
大森 勇門
出版者
大阪工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

食品における結合態D-アミノ酸の存在と異性化を促進する要因について解析を行った。サプリメントとして販売されているコラーゲンペプチドには、結合態D-ValがD/D+L比20%程度の非常に高い割合で存在することを見出した。一方でダイズやホエー由来ペプチドでは結合態D-Valは検出されなかった。またAspジペプチドをモデルとして異性化を促進する加工処理を検討した。電子レンジでの加熱において、アルカリ条件では700 W、30秒で異性化が進行することを見出した。既知の条件よりもかなり低い温度と短時間で進行することが明らかになり、マイクロウェーブが結合態アミノ酸の異性化を促進することが示唆された。