著者
上久保 敏
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究の目的は、政府による思想善導策の1つであった戦時期の「日本文化講義」に着目し、その全容を解明するとともに経済学者の日本文化講義への関与について考察することにある。日本文化講義は昭和11年度から文部省・教学局が帝国大学・官立大学・直轄諸学校さらには私立大学などにも実施を要請した官製講義であったが、これについては今日まで十分な研究が行われてこなかった。当年度前半は前年度に引き続き日本文化講義の全容を明らかにすることに重点を置き、日本文化講義の実施状況について調査を進めた。『思想時報』、『教学局時報』などの文部省・教学局発行の逐次刊行物と金沢大学資料館等でデジタルカメラによる撮影複写で集めた「日本文化講義関係書類」を基にして帝国大学や官立の大学・高等学校・専門学校・実業専門学校・高等師範学校で昭和11~16年度に実施された日本文化講義の全国的な実施状況や講師一覧表について分析・考察を行った。研究結果については「講師一覧からみた戦時期「日本文化講義」の諸相」という論考にまとめ『大阪工業大学紀要』第60巻第1号に発表した。(https://www.oit.ac.jp/japanese/toshokan/tosho/kiyou/2188-9007/60-1/01kamikubo.pdf)当年度後半からは私立の大学・専門学校における日本文化講義の実施状況に重点を置いた資料調査を断続的に行っている。具体的には関西学院大学学院史編纂室や同志社社史資料センター等の所蔵する諸資料を探索し、日本文化講義の実施を確認できる文書を閲覧調査して、私立の大学・専門学校における実施状況について考察中である。いずれ論考にまとめる予定である。
著者
椋平 淳
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究は、文化・芸術活動の‘公共性’が問い直されている時代情勢を受け、公共文化施設による一般市民に対する演劇的活動の提供事例(いわゆる「アウトリーチ」)を調査し、そうした事業がどのように社会の生涯活動推進に結びつくのかという点を考察するものである。活発な事業を展開している全国の公共文化施設を調査することによって、現代社会におけるアウトリーチ活動が踏まえるべき要点が抽出され、将来的に有効なプログラム・運営方法の骨格が提案できる段階に到達している。
著者
松井 謙二 中藤 良久 水町 光徳 加藤 弓子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

喉頭がんなどにより発声困難になった方々が用いる電気式人工喉頭に関して、まず、手首や指のわずかな動きで抑揚を制御できるインタフェースを開発し、次に、装置を小型軽量化して手で保持することなく首に安定して装着可能な構造の人工喉頭を試作した。これらの結果を用いて、トータルシステムのユーザー評価実験を行った結果、新しい発声支援装置として使用が可能と思われるとの良好な評価結果が得られ、装置の有効性が確認できた。
著者
友枝 謙二 三村 昌泰 山口 智彦 川口 正美 田端 正久 儀我 美一 NAKAKI Tatsuyuki 今井 仁司
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

本研究では、過渡状態での解析に耐えうる理論的信頼性をもった実験及び数値計算法の確立という目的に沿って下記の現象i)〜iii)を中心に扱ってきた。i)反応拡散系に現れる空間パターンの変化ii)粘性流体でのヴィスコスフィンガリング現象iii)蒸発過程での浸透領域の変化その結果、これらの現象を中心にして多岐にわたる新しい界面現象が発見され、本目的を達成することができた。すなわち過渡状態の現象に接近できる信頼性の高い実験方法および数値解析法の開発が可能になり、多くの界面現象のダイナミクスの解明がなされた。同時に数値解析としては今後取り組むべき重要な問題点も提起された。主な成果は以下の通りである。1)反応拡散系の数値計算法については、TCD(Threshold Competition Dynamics)法でシミュレートする方法を開発した。これによって、多次元での位相的に複雑な界面挙動を高精度に且つ容易に再現することができた。また有限要素法による気泡上昇問題の解析ではその泡の併合現象の再現が可能となった。2)成長する結晶表面の動きの数理モデル化では反応拡散の他に輪送効果を導入することによって、これまでにない新しい様々な解析結果が得られた。3)ヴィスコスフィンガリング現象を再現するHele-Shawセル中を上昇する泡において、箒星の形状の伴流が実験で発見された。どのように数値シミュレーションで再現するかが今後の課題である。4)マルチスケール有限要素解析を用いて多結晶集合組織内での界面ダイナミクスを正確且つ高速に数値解析を行うことができた。5)空間2次元での蒸発過程に現れる浸透領域の分離・融合・再分離過程を再現する計算法とそのような現象を引き起こす初期分布関数の陽的表現を得ることができた。更に、その分離・融合を反復繰り返すための初期分布も決定することができた。
著者
岡田 三津子 櫻井 陽子 鈴木 孝庸
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究では、宴曲詞章の検討を通して、中世における道行文の形成と展開に関わる基礎的考察を行った。以下に、三点に分けて考察の結果を述べる。第一に、宴曲譜本のすべてを網羅することを目指して、室町期の譜本を中心とした文献調査を行った。そこでは、江戸時代の能役者が宴曲譜本を収集していたことなどを明らかにした。第二に、宴曲詞章の文学史的影響について検討し、論考を書いた。最後に、特別研究会を開催した。そこでは多くの研究者が宴曲詞章を検討する場を提供することができた。今後の課題は、これまでの成果を踏まえ宴曲に特徴的な用字の訓例索引を作成することである。さらに、用字の相違に注目した校訂本文作成を目指す。
著者
高山 成
出版者
大阪工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

近年、登攀型の壁面緑化植物として急速に普及しているノアサガオを使って、植栽面の面積に対して約11倍の葉面積を繁茂させた。この壁面緑化物の水消費量の日平均値は、1日あたり18.4mmであった。気象条件のみに支配される基準蒸発散量に対する水消費量の比を水消費量率とした時、同期間における水消費量の最大値は15程度だった。水消費量率の最大値15に対する日々の水消費量率を標準水消費量率として、日平均風速、日平均土壌体積含水率、日積算壁面日射量、対地葉面積指数の環境因子を説明変数とする推定モデルを構築した。日々の水消費量の実測値に対する、モデルの推定値の絶対平均誤差は6.1%程度と良好な結果が得られた。
著者
松村 潔 小林 茂夫
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-11-30)

本研究ではマウスの脳出血-発熱モデルを作成し、血小板由来サイトカインCD40Lが発熱に関与している可能性を検討した。マウス視索前野へのコラゲナーゼ投与は脳出血を引き起こし、発熱とシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の発現を引き起こした。CD40Lの脳内投与は発熱と脳血管内皮細胞でのCOX-2発現を引き起こした。これらの結果はCD40Lが脳出血時に内因性発熱物質として働く可能性を支持する。
著者
寺内 信 佐藤 圭二 山本 剛郎 安田 孝 馬場 昌子 西島 芳子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

近代産業都市の住宅地形成を日本の長屋建住宅とイギリスのテラスハウスの比較研究として実施した。日本では大阪と名古屋の都心周辺部における長屋建住宅地の形成過程と第2次世界大戦後の変容、消失実態を明らかにした。イギリスではリバプール、バーミンガム、リーズを主として、テラスハウス地区の形成過程、戦後の改善過程、改善主体や改善手法について考察した。また、老朽住宅の建て替えや、居住者の高齢化に伴う高齢者居住対策の活動について、およびバーミンガムにおける居住者分布のパターンについて分析している。日本の長屋建て住宅は19世紀末からの近代産業都市建設の過程で、庶民住宅として供給されたが、第2次大戦後は社会経済的争件の欠落により減少した。一時的に非木造テラスハウスとしての普及が試みられたが、成功しなかった。都心居住の再生が推進されつつある今日では、新たな再建の方法とルールが必要とされている。イギリスでも戦後の住宅建設では増加していないが、1960年代以降の居住地改善活動によって、改善・維持がすすめられた。その過程で重要な役割を果たしたのがハウジング・アソシエーションである。しかし多様な主体による居住地再生活動にもかかわらず、テラスハウスの高齢者・障書者対応の改造は進展せず、新たな改修方法の開発と実験が必要と考えられる。