著者
大黒 絹枝 分部 浩和 東 敦 向井 典江 今田 拓磨 米田 裕光 大西 久子 蔵本 美香 宮本 寿 大森 和則 玉岡 寿 菊地 幹雄
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.74-90, 1995-07-31
被引用文献数
4

ニューキノロン薬grepafloxacin (GPFX) の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌力について検討し.以下の結果を得た。<BR>1. GPFXは好気性菌及び嫌気性菌に対し幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を有していた。<BR>2. 臨床分離菌株に対するGPFXの抗菌力は, グラム陽性菌では比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, グラム陰性菌ではCPFXに次ぐ抗菌力であった。<BR>3. GPFXは各種測定培地, 培地のpH, 接種菌量, 血清添加および金属イオンの影響をほとんど受けなかったが, 培地の酸性pHおよび高濃度の金属イオン存在下で, わずかに抗菌力の低下が認められた。<BR>4. GPFXはMIC以上の濃度で用量依存的に殺菌作用を示し, MICとMBCの差は小さく, 殺菌的に作用した。<BR>5. GPFXに対する自然耐性菌の出現頻度は低く, 継代培養による耐性も獲得しにくかった。<BR>6. GPFXは<I>Escherichia coli</I>由来のDNA gyraseにより, DNAから超螺旋型DNA生成する反応を強く阻害した。<BR>7. GPFXのpost antibiotic effect (PAE) は<I>Staphylococcus aureus</I> FDA 209Pで2時間, <I>E. coli</I> NIHJ JC-2 で1.6時間であり, CPFX同様に比較的長かった。<BR>8. マウス実験的感染症に対するGPFXの治療効果は, グラム陽性菌では比較薬剤のなかで最も強く, グラム陰性菌ではCPFXと同等もしくは優れた効果を示した。<BR>以上の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌作用の検討成績より, GPFXは呼吸器感染症をはじめ各種細菌感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。