著者
大橋 恭一 岡本 将宏
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.378-383, 1985
被引用文献数
1

著者らは前報で,水田転換畑におがくず入り牛ふん厩肥を1976年から10a当たり0〜8t毎作施用し野菜の収量と土壌水分環境におよぼす影響について報告したが,今回は10作跡地土壌の化学性および野菜の養分吸収について検討した.1.厩肥の連用により作土の全炭素(T-C),全窒素(T-N),置換性カリウム(K_2O),可給態リン酸(P_2O_5),全リン酸(T-P_2O_5)が増加し,それらの含有量と厩肥使用量との間には高い相関がみられた.2.作土でのリン酸集積は厩肥無施用区でも生じており,それに加えて厩肥の使用はその集積を著しく促進した.すなわち8t施用区では栽培跡地にトルオーグリン酸378mg/100g乾土,全リン酸714mg/100g乾土が集積しており,その集積量は野菜の生育に必要な最適基準よりも著しく高かった.3.野菜の栽培前および跡地土壌の置換性養分より,作土中養分量の増減を調査したところ,カリウムと異なりカルシウムとマグネシウムは減少していること,また,その減少度合いは両者で異なることを認めた.4.ダイコン,ハクサイの窒素,リン酸,カリウムの吸収量はおのおの10a当たり6.0kg,3.8kg,15.5kgと13.6kg,6.9kg,27.5kgであり,いずれの養分ともハクサイの吸収量のほうが多かった.また施用肥料の養分量に対する上記の野菜による養分の流出割合は,ダイコンで27.1〜31.3%(窒素),20.5〜25.5%(リン酸),71.1〜88.3%(カリウム)となりハクサイでは38.4〜50.4%(窒素),25.2〜33.1%(リン酸),86.6〜111.4%(カリウム)であった.5.これらの調査から,厩肥の使用は各土壌養分の増大にもとづく耕地の改善に効果的に働くが,リン酸の集積増大をもたらすため,その肥培管理の改善が望まれる.
著者
大橋 恭一 岡本 将宏
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.373-377, 1985-10-05

琵琶湖内湖の干拓地である細粒グライ土を畑転換し,1976年からおがくず入り牛ふん厩肥を10a当たり0〜8t毎作施用し,春作は美濃早世ダイコン,秋作はハクサイを栽培した.厩肥使用量と収量,土壌水分の関係について得られた結果は次のようであった.1.収量に対しては1t施用ではほとんど効果は認められず,2〜4t施用によって効果が高く,8t施用では逆に不安定となった.2.土壌pF値が低く経過している8t施用区の収量が低下する原因は以下のように考えられた.すなわち,ダイコン栽培時に深耕した際に心土が破壊され,大雨で冠水した際,下層土の構造・亀裂に土壌粒子などが詰まり,地下水と毛管連絡し過湿になった.3.厩肥を使用することにより土壌の易効性有効水分(pF1.8〜3.8)は増加し,pH1.8の個相率の低下と気相率の増加が認められるが,8t施用区では気相率が46.9%と高く,干害のおそれも考えられた.