著者
松永 俊朗
出版者
日本土壌肥料學會
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.146, 2016 (Released:2016-10-20)
著者
松本 美枝子
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.345-352, 1990
被引用文献数
1

ハクサイにおける,ゴマ症発生と基肥窒素施用量(10a当たり10,20,30kg)の関係を体内成分の面から検討した.基肥窒素施用量の増加に伴い生育が促進され,ゴマ症の発生も増加した.基肥窒素30kg施用区でとくに発生が著しかったが,10kgおよび20kg施用区であっても生育が促進された場合は発生が多くなった.この発生株ではNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度が上昇し,糖濃度は逆に低下する傾向を示した.また,機関別体内成分とゴマ症発生の関係では,葉柄よりむしろ葉身中でのNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度の蓄積が発生を助長した.これらの事実から,ゴマ症の発生を防止するためには,基肥窒素施用量を20kg以下にすることが必要と考えられた.
著者
陽 捷行
出版者
日本土壌肥料學會
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.267-277, 2016 (Released:2016-11-22)
著者
水野 直治 堀江 健二 水野 隆文 野坂 志朗
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 = Journal of the science of soil and manure, Japan (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.529-534, 2001-08-05

超ニッケル集積植物であるタカネグンバイThlaspi japonicumは植物体中の多くの成分含有率が大幅に変動する植物である。超塩基性岩質土壌で生育したタカネグンバイの葉身中のニッケルは1553mgkg-1と高いが、カルシウム含有率は2000mgkg-1と低くなるなど他の植物に見られない特徴がある。また、植物体中のニッケル化合物は結晶として存在することが明らかになった。これらの結果はつぎのとおりである。 1)超塩基性岩質土壌のタカネグンバイのカルシウム含有率はニッケルが検出されない安山岩質土壌で生育したタカネグンバイのほぼ1/5であった。また、この植物は亜鉛、銅の含有率が高く、特に安山岩質土壌の植物体中亜鉛含有率は一般植物の約10倍に達した。 2)植物体中のニッケル化合物は棒状の結晶体で、特に表皮細胞や導管内に存在する。気孔周辺では多量の棒状結晶が扇状に分布する。 3)ニッケル化合物の結晶は室温で乾燥した植物体でも観察されるが、70~80℃以上で乾燥した試料では消失することから、結晶水な持つ化合物である。 4)安山岩質土壌で生育したタカネグンバイのカルシウム含有率は10000mgkg-1と高いが、ニッケル化合物の結晶は観察されない。 5)超塩基性岩質土壌と安山岩質土壌を混合した土壌で育てた植物体中のカルシウム含有率は10000mgkg-1と高くなるが、ニッケル含有率は255mgkg-1と低くなる。しかし、ニッケル化合物の結晶は観察される。 6)ニッケル含有率の高い(100~400mgkg-1)他の植物では、植物体内にニッケルの結晶を観察できなかった。
著者
森 清文 久保寺 秀夫 西 裕之 古江 広治
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.299-302, 2015

種子島は本土最南端佐多岬から大隅海峡を隔てた南東40kmの沖合に位置し,南北58km,東西5~12kmと細長い島である。標高は最も高いところでも282mしかなく,総面積は445km2で農業が可能な平地が多く分布している。北側から西之表市,中種子町,南種子町の1市2町からなり人口は約32,000人,農業ではサトウキビ,でん粉原料用サツマイモ,早期水稲が主で,近年では種子島で選抜育成された青果用サツマイモの「安納紅,安納こがね」など付加価値の高い土地利用型畑作物の生産が盛んである。種子島の農耕地面積は6,980haで,そのほとんど(6,347ha)が黒ボク土である(鹿児島県,1978)。黒ボク土は強酸性でアルミニウムの過剰障害など農業生産上問題の多い非アロフェン質黒ボク土と比較的酸性度の弱いアロフェン質黒ボク土に分類される。松山ら(1994)は,九州南部地域について,阿蘇山と流紋岩~安山岩質の霧島山,桜島,池田湖,喜界カルデラのテフラが厚く堆積し,年降水量は1,200~2,800mm,P-E指数は120~200であるとしている。
著者
本城 淳子 安藤 豊 角田 憲一
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 = Journal of the science of soil and manure, Japan (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.480-487, 2000-08-05
被引用文献数
2

The relationship between the establishment of seedling directly sown on well-drained paddy field and reduction condition and/or temperature was investigated without coated calcium peroxide. The experiment was conducted in an incubation box under two different temperature conditions (15 and 17℃) and two moisture conditions (flooded and unflooded) under lighted conditions. There were four plots, i.e. high temperature and flooded plot (HTF), low temperature and flooded plot (LTF), high temperature and unflooded plot (HTU), and low temperature and unflooded plot (control, C). Change of the conditions (15 to 17℃ and/or unflooded to flooded) was carried out in 3-d intervals from 0 d after sowing (DAS). Emergence percentage (number of emerged seedlings/number of seeds sown), establishment percentage A (number of established seedlings/number of seed sown) and establishment percentage B (number of established seedlings/number of emerged seedlings) were elucidated. 1) The earlier the change of conditions, the lower the emergence and establishment percentages were observed in HTF as compared with HTU. Higher emergence and establishment percentages were obtained in HTF than LTF when flooding and temperature changes were conducted before 15 DAS. 2) Effect of the beginning time of flooding on establishment percentage B related on the growth stage of rice seedling. Establishment percentage B was divided into 3 groups by the beginning time of flooding, i.e. the lowest was 0 to 3 DAS, medium was 6 to 12 DAS and the highest was 15 to 21 DAS. 3) Consequently, the time after emergence of seedling was the suitable stage for the start time of flooding to obtain high and stable establishment of seedlings of rice plant.
著者
大脇 良成
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.555-563, 2002
参考文献数
100

高等植物の鉄獲得機構はIとIIに大きく分けられる。このうちIIはイネ科植物が持つメカニズムで、根からのファイトシデロフォア(ムギネ酸類)の分泌とそれによる土壌中での3価鉄の可溶化、および3価鉄ムギネ酸の吸収が含まれる。このIIの鉄獲得機構に関しては、Takagiによるイネ科植物の根から分泌される鉄可溶化物質の発見に端を発して、その後のムギネ酸の構造決定を経て、近年におけるムギネ酸生合成系の解明、および3価鉄ムギネ酸トランスポーターのクローニングなど、その詳細が分子レベルで解明されつつある。このIIの鉄獲得機構の解明における日本人研究者の寄与は極めて大きく、その過程については森により解説されている。一方、Iはイネ科以外の大部分の陸上植物が持つ鉄獲得機構である。イネ科以外の植物は根の表面で3価鉄を2価に還元した後に、細胞膜にある2価鉄のキャリアーにより細胞内に鉄を取り込む、また、土壌中の不溶態鉄の可溶化には、鉄欠乏に応答したプロトンポンプの活性化による根圏の酸性化が関与している。近年これらIの鉄獲得機構を構成する細胞膜の3価鉄還元酵素、2価鉄トランスポーター、プロトンポンプなどに関する研究が進み、その実態が分子レベルで明らかにされつつある。本稿では、高等植物の鉄獲得機構のうちIに関して近年の研究の進展を開設するとともに将来展望について述べる。IおよびII以外の鉄獲得機構については近年、エンドサイトーシスを基本にしたIIIの可能性が提唱されている。
著者
小八重 善裕
出版者
日本土壌肥料學會
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.478-487, 2017 (Released:2018-03-12)
著者
大橋 恭一 岡本 将宏
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.378-383, 1985
被引用文献数
1

著者らは前報で,水田転換畑におがくず入り牛ふん厩肥を1976年から10a当たり0〜8t毎作施用し野菜の収量と土壌水分環境におよぼす影響について報告したが,今回は10作跡地土壌の化学性および野菜の養分吸収について検討した.1.厩肥の連用により作土の全炭素(T-C),全窒素(T-N),置換性カリウム(K_2O),可給態リン酸(P_2O_5),全リン酸(T-P_2O_5)が増加し,それらの含有量と厩肥使用量との間には高い相関がみられた.2.作土でのリン酸集積は厩肥無施用区でも生じており,それに加えて厩肥の使用はその集積を著しく促進した.すなわち8t施用区では栽培跡地にトルオーグリン酸378mg/100g乾土,全リン酸714mg/100g乾土が集積しており,その集積量は野菜の生育に必要な最適基準よりも著しく高かった.3.野菜の栽培前および跡地土壌の置換性養分より,作土中養分量の増減を調査したところ,カリウムと異なりカルシウムとマグネシウムは減少していること,また,その減少度合いは両者で異なることを認めた.4.ダイコン,ハクサイの窒素,リン酸,カリウムの吸収量はおのおの10a当たり6.0kg,3.8kg,15.5kgと13.6kg,6.9kg,27.5kgであり,いずれの養分ともハクサイの吸収量のほうが多かった.また施用肥料の養分量に対する上記の野菜による養分の流出割合は,ダイコンで27.1〜31.3%(窒素),20.5〜25.5%(リン酸),71.1〜88.3%(カリウム)となりハクサイでは38.4〜50.4%(窒素),25.2〜33.1%(リン酸),86.6〜111.4%(カリウム)であった.5.これらの調査から,厩肥の使用は各土壌養分の増大にもとづく耕地の改善に効果的に働くが,リン酸の集積増大をもたらすため,その肥培管理の改善が望まれる.
著者
村本 穣司 後藤 逸男 蜷木 翠
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.210-215, 1992
被引用文献数
21

Rapid analysis of exchangeable cations and CEC of soils by a shaking extraction method, which can get similar values to semimicro S_<CHOLLENBERGER> method, was studied. Procedure of the method established is as follows ; Place 2.00 g of <2 mm air-dried soil in an 85 ml Nalgene centrifuge tube. Add 30 ml of 1 M ammonium acetate (pH 7), and shake for 15 min. Centrifuge the tube at 2,500 rpm for 3 min. Decant the supernatant into a 50 ml Buchner funnel fitted with filter paper, and receive the filtrate in a 100 ml volumetric flask. Repeat extraction two more times in the same manner except shaking for 30 s by hand. Add 5 ml of 20,000 ppm Sr into the flask, and make to volume with ammonium acetate. Determine Ca, Mg, K, Na and Mn by ICP-AES using calibration method. To remove free ammonium ion from the soil, add 20 ml of 80% methanol in the centrifuge tube, shake for 30 s by hand, centrifuge, and discard the supernatant through the funnel used on the extractions. Repeat this step two more times. Add 30 ml of 10% potassium chloride in the centrifuge tube, and extract absorbed ammonium ion from the soil in the same way with extracting exchangeable cations using funnel used in previous steps. Make to volume with 10% potassium chloride, dilute 5 times with water, and determine ammonium ion by an ammonia electrode method. The values obtained by this method agreed well with the values obtained by semimicro S_<CHOLLENBERGER> method on exchangeable cations and CEC of 24 soils. All extraction procedures of the method can be finished within 2 h per one sample. Repeatability of the method was about 5% for exchangeable Ca, Mg, K, and about 10% for CEC as coefficient of variance.
著者
佐久間 俊雄 倉持 寛太 斉藤 英樹 増谷 雪雄 望月 美千代 森下 諦三
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.197-202, 1989
被引用文献数
3

以上の実験結果および考察はつぎのように要約できる。 1)軽水電界水素ガスをキャリアーガスとして用いることにより,検出加減を低く維持し,繰返し精度および再現精度を向上することができ,天然存在率以下のD/Hを精度良く測定できる。 2)この場合,較正曲線は良子な直線性を示し,D/H測定の信頼幅は,反複数40以上で3ppm以内(100〜1000ppmの範囲),反複数5でも8ppm以内(100〜260ppmの範囲)であった。3)市販超高純度水素をキャリアーガスとして用いる場合,軸正曲線の直線性には問題はないが,繰返し精度・再現精度は,軽水電界水素ガスをキャリアーガスとして用いたときよりやや悪かった。 4)土壌サンプルを用いた直接真空蒸留にはサンプルフラスコを大容量にするのが効率的であり,精度を損なうこともなかった。 5)テンションライシメータ法は土壌水の継続サンプリングに適しており,pF=2.5相当程度以上の水分率で有用であった。抽出に伴う同位対効果はわずかではあるが認められ,補正の必要があった。6)圃場実験に際しては,土壌水による希釈が著しく,自然存在率付近から300ppm程度までのD/H範囲における測定が多くなり,高い再現性度が要求される。軽水電界水素ガスをキャリアーガスとして用い,一連の測定ごとに2点較正することによって,測定日の違いによる誤差を補正して満足すべき結果を得た。
著者
中野 明正 上原 洋一 山内 章
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.737-742, 2003
参考文献数
27
被引用文献数
5

トマトの隔離床栽培において,5種類の施肥区(CDU化成肥料を与えたCDU区,低硫酸根緩効性肥料を与えたLSR区,窒素の想定必要量の半量ずつをCDUと牛糞堆肥で与えた区をCM+CDU区,同様にCDUと鶏糞堆肥で与えた区をPM+CDU区,牛糞堆肥および鶏糞堆肥のみを与えた区をCM+PM区)を設け年2作,4連作を行った.収量の経年変化,トマト果実の糖度,無機成分組成,土壌と果実のδ^<15>N値を測定した.化学肥料と堆肥施用で収量における有意な差は認められなかった.糖度についてはLSR区で他の処理区に比べ低くなる傾向があったが,CDU区では堆肥を施用した処理区と同程度の糖度を示したので,糖度の低下は化学肥料に特有の現象ではないと考えられた.また,無機成分組成ではマグネシウムだけが,CM+CDU区で増加する結果を得たが,堆肥施用の普遍的な効果とは考えられなかった.以上の結果からは,堆肥施用がトマトの収量,糖度,無機成分含量を増加させるという結論を導くことは困難であると考えられた.一方で,化学肥料および堆肥のδ^<15>N値は,土壌と果実の双方のδ^<15>N値に反映され,土壌と果実のδ^<15>N値の間には高い相関が認められた(R^2=0.89).これらのことから,堆肥施用したものと化学肥料施用したものとを分ける閾値を設け,δ^<15>N値を用いた有機農産物判別の可能性が考えられた.
著者
下野 勝昭
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.8-15, 1990
被引用文献数
2

表層多腐地質多湿黒ボク土の土壌pHが各種畑作物の生育,収量と土壌中の各種成分に与える影響を検討した.得られた結果は以下のように要約できる. 1)トウモロコシを除く各作物は低土壌pHで初期成育が劣り,各作物の耐酸性はトウモロコシ>秋コムギ>インゲン>テンサイ>2条オオムギの順であった. 2)北海道の主要畑作物である秋コムギ,インゲン,テンサイはH_2O-pH 4.5以下で酸性障害を受け,初期成育値が劣った.H_2O-pH 4.5に対応する水溶性(土:水比=1:2.5)Al濃度は,1.9ppm,Al活動度は2.33×10^<-5 (M/l)^<1/3> で,酸性障害の主因はAl過剰害によるものと推定された. 3)酸性障害が発現しない条件下における土壌pHと各作物の収量反応は,バレイショとテンサイは,それぞれH_2O-pH 5.5〜5.7, 5.7〜6.1を頂点とする山形の曲線を示し,秋コムギはH_2O-pH 5.5〜6.3を頂点とする台形形の曲線を示し,これらの作物は炭カル施用による一定程度のH_2O-pH 上昇で収量増になった. 4)炭カル施用によるH_2O-pHの上昇で水溶性(土:水比=1:2.5) P_2O_5濃度とトルオーグP_2O/5含量は低下,減少し,作物体のリン酸吸収量も減少傾向が認められた. 5)炭カル施用による収量増の主因は,テンサイ,インゲン,春コムギでは全乾物重の増加ではなく,収穫指数の向上にあった.また,この場合,リン酸質資材を併施用すると,全乾物重も増加し,収量はさらに高まった.
著者
佐久間 敏雄
出版者
日本土壌肥料學會
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.17-24, 1979 (Released:2011-12-08)