著者
廣瀬 英晴 菊地 久二 斉藤 仁弘 小堀 雅教 芝原 健夫 安斎 碕 大橋 正敬
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.517-524, 1989
被引用文献数
1

本研究は, 吸水および溶解量の少ない可視光線重合型レジンの開発を目的として, シクロホスファゼンモノマー3種および市販モノマー3種を用いて可視光線重合型のアンフィルドレジンを試作し, それぞれの硬化物の水中での吸水量, 溶解量, MeOH中での膨潤量, 溶解量, THF中での膨潤量および機械的性質について検討したものである.その結果, 吸水量は, いずれのモノマーを用いた場合も経時的に増大した.また, 30日間水中浸漬した場合の溶解量は, 4PN-(EMA)<sub>8</sub>, 4PN-(TF)<sub>1</sub>-(EMA)<sub>7</sub>, 4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>, Tri-EDMA, BMPEPPおよびBis-GMA+Tri-EDMAの場合, それぞれ順に0.16, 0.20, 0.51, 0.65, 0.17および0.81%を示した.MeOH中での膨潤量は, Bis-GMA+Tri-EDMAおよび4PN-(TF)<sub>2</sub>-(EMA)<sub>6</sub>の場合を除き, いずれも経時的に増加する傾向を示した.30日間MeOH中に浸漬した場合の溶解量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合および市販モノマーを用いた場合, それぞれ0.09〜0.36および1.36〜5.40%を示した.30日間THF中に浸漬した場合の経時的な膨潤量は, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合に市販モノマーを用いた場合と比較して小さかった.一方, 圧縮強さは, いずれのモノマーを用いた場合も230〜275MPaを示し, 曲げ強さは, シクロホスファゼンモノマーを用いた場合は, いずれも45MPa以下を示し, 市販モノマーを用いた場合は59〜90MPaを示した.