著者
大沼 健一郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1001-1005, 2020-09-15

はじめに 論文を執筆するうえで,文献は研究背景や研究の必要性の考案,研究方法の立案,さらには,自身の新知見の主張などにおいて重要である.研究を実施するにあたって,研究前・研究中・論文作成時とさまざまな段階で文献を検索・収集し,管理する必要がある.しかし,膨大な文献を管理することとなり,容易ではない.特に,論文執筆時の参考文献リストの作成は,投稿誌を変更すれば修正が必要になるなど,大変煩雑な作業である. 本稿では,文献管理にかかわる煩雑な作業を効率化することができる5種類の代表的な文献管理ソフトについて概説する.
著者
大沼 健一郎 小林 沙織 直本 拓己 矢野 美由紀 山﨑 美佳 東口 佳苗 中町 祐司 三枝 淳
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.763-768, 2019-10-25 (Released:2019-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
3

腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome; TLS)は,化学療法により大量の腫瘍細胞が崩壊した結果起こる代謝異常で,高カリウム血症,高尿酸血症,高リン酸血症などを呈する。特に,尿酸塩やリン酸塩の腎尿細管腔での析出・沈着は閉塞性腎障害から急性腎不全を引き起こすため早急な対応を要する。我々は,化学療法開始後に尿中にキサンチン結晶の析出をおこし,尿沈渣検査による結晶の形態と溶解性の報告により閉塞性腎障害を防ぎ得た症例を経験した。症例は63歳,男性。頸部リンパ節腫脹を主訴に当院受診し,成人T細胞白血病/リンパ腫と診断された。TLS対策としてラスブリカーゼおよびアロプリノール投与下でCHOP療法を開始し,3日後に尿中に析出物を認めた。尿pH 8.0,尿沈渣で褐色の板状結晶と顆粒を多量に認めた。結晶は水酸化カリウムに溶解,酢酸及び塩酸に不溶であった。補液増量,利尿剤投与,さらにアロプリノール中止により結晶は陰性化した。結石成分分析で98%がキサンチン結晶と同定され,アロプリノール投与が原因となり尿酸の前駆体であるキサンチンが蓄積したと考えられた。すなわち,キサンチン結晶はアロプリノール投与を中止すべきことを示唆する重要な尿沈渣成分であると考えられる。キサンチン結石の症例報告はなされているものの,尿沈渣中のキサンチン結晶を形態学的に報告した例はなく,本症例が初めての報告である。