著者
古川 洋和 大沼 泰枝
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.155-163, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、長野県において、うつ病に対する認知行動療法(CBT)についての研修プログラムを実施し、その効果を検討することであった。21名(平均年齢35.57歳)の実践家が研修プログラムに参加した。プログラムでは、6回(計18時間)のワークショップと個別のスーパービジョンが行われた。研修プログラムの効果については、認知療法認識尺度(CTAS)を用いて、プログラム実施前(Pre)、プログラム終了直後(Post)、プログラム終了4ヵ月後(Follow-up)の3時点でCBTの知識についての評定を求めた。また、PreとPost時点において、CBTの実践可能性(0〜100)についての評定を求めた。本研究の結果、CTAS合計得点はPreの値と比較してPostの値が有意に高く、その効果はFollow-up時点においても維持されていた。さらに、CBTの実践可能性についてもPreの値と比較してPostの値が有意に高いことが示された。最後に、本研究の結果をもとに、地域単位で実施するうつ病に対する実証に基づく心理療法の普及と推進について議論した。
著者
大沼 泰枝
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.77-89, 2023 (Released:2023-05-26)
参考文献数
20

障害学生支援部署において,発達障害のある学生を対象に防災教育・防災訓練の教材を作成し,個別に実施した成果について検討した。本防災教育・防災訓練は,大学にいる時間帯に災害が発生した場合に,学生が周囲の支援者にスムーズに自分の情報を提供し,必要な支援を受けられるようにすることを目的とした教材と大学周辺の防災情報や大学で地震に遭遇した場合の対処について学び,実際に避難訓練を実施するための教材から構成された。発達障害のある学生1名を対象に防災教育・防災訓練を行った結果,地震に対する対処行動の知識を習得することができ,地震発生時の対処行動の自己効力感を高めることができた。しかしながら,対象者の地震に対する不安を低減することはできなかった。このことから,対象者の特性を考慮し,不安の軽減を目的としたメニューを入れる等,防災教育・防災訓練の内容を個別に検討する必要性が示された。