著者
木谷 裕紀 大渡 勝己 小野 廣隆
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.258-265, 2019-11-01

単貧民とは,不完全情報多人数ゲームである大貧民を完全情報ゲームとして簡易化したものである.これまでの研究により,二人単貧民に関しては配られた手札からどちらが必勝プレイヤであるかどうかを線形時間で判定できることがわかっている.本研究では手札非公開で行う不完全情報単貧民において如何に「必勝戦略」を得るかについて考える.手札に関する情報が全くない場合,確定的な意味で「必勝戦略」を得ることは難しい.このため,本研究では相手の手札に関する部分的な情報を提供するオラクルの存在を許したモデルを定義し,そのオラクル存在下で必勝戦略が得られるかどうかについて考察する.相手がどの札を持っているかなどの情報がない状況でも,マッチング数と呼ばれるゲームの構造パラメータを得るオラクルさえあれば完全情報単貧民と同様の必勝戦略をとることができるなど,オラクルの強さと必勝戦略発見可能性に関する様々な結果が得られることを示す.
著者
大渡 勝己 田中 哲朗
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.180-187, 2016-10-28

本研究では連続空間のMDPに対するモンテカルロ木探索を基にした行動決定手法を提案する.提案手法を,カーリングの戦略を議論するために作成された「デジタルカーリング」システムにおける対戦プログラムに適用した.実験の結果,単純なシミュレーション方策を用いた場合だけでなく,カーリングの知識を用いた複雑なシミュレーション方策を用いた場合にも提案手法が有効に働くことを確認した.
著者
大渡 勝己 西野 順二
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.24, pp.1-8, 2019-03-01

レーティングシステムはスポーツやゲームにおいてプレイヤの強さを推定し順位付けを行うことに役立っている.一般に広く用いられているイロレーティングはプレイヤの強さに全順序性を仮定しており,じゃんけんのように強さの関係が循環する場合を表現できない.近年,このような相性関係も含んだレーティングシステムの研究も行われており,本稿では相性を含んだレーティングモデルとして有用性が期待できるものを複数提案する.特に,三つ巴関係を直接表現するモデルを現実世界のデータに対して適用し,この提案モデルが現実のデータの推定精度を向上させうる可能性を示した.
著者
大渡 勝己 木谷 裕紀
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.15, pp.1-7, 2021-06-12

二人単貧民はトランプゲーム大富豪を簡略化した二人零和完全情報ゲームであり,この勝者は両プレイヤの手札枚数に対して線形時間で決定できる.本研究では,二人単貧民において,勝者の最後の提出札に着目し,この札の上に相手が札を提出可能か,またはパスしかできないかを考慮して試合結果を細かく分ける.このとき,互いのプレイヤの最強札の強さが異なる条件下においては,この試合結果についても手札枚数に対して線形時間で求められることを示す.さらに,最強札が同じ強さの場合についても,計算機実験の結果から予想しているゲームの性質について議論する.
著者
大渡 勝己 木谷 裕紀
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.30-37, 2020-11-06

二人単貧民はトランプゲームの大富豪(大貧民)を簡略化した二人零和確定完全情報ゲームである.通常,単貧民は手札をすべて出し切ったプレイヤの勝ちである.それに対して本研究では勝利条件を一般化し,予め定めた枚数の手札を出した方が勝ち,言い換えると,それぞれ指定された残り手札枚数に先に到達した方が勝ち,というルールについて検証を行った.結果として,通常の単貧民の場合と同じく,必勝プレイヤの判定を手札の総数N に対してO(N) 時間で計算でき,二人単貧民の性質の多くはこの一般化した勝利条件においても成り立つことを示した.さらに,このゲームにおける最適戦略についても,最適な提出札の必要十分な範囲をO(N) 時間で計算できることなどの複数の新しい知見を得た.
著者
大渡 勝己 木谷 裕紀
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.131-138, 2020-11-06

二人単貧民はトランプゲームの大富豪(大貧民)を簡略化した二人零和確定完全情報ゲームである.二人単貧民において勝敗のみに着目した場合,必勝プレイヤと必勝の戦略は手札の総数N に対してO(N)時間で計算できることが知られている.一方本研究では,二人単貧民において負け側の残り手札枚数を得点として扱い,できる限り相手に出させずに勝ち,逆に負けるとしてもできる限り多く出すことを競う設定を考え,検証を行った.結果として,この得点のミニマックス値と得点を最大化する提出札の必要十分な範囲のいずれもO(N) 時間で計算できることを示し,得点最大化とゲーム中のパスの回数や手数との間に密接な関係があることも確かめた.