著者
西村 美里 大町 弥生 中山 由美
出版者
藍野大学
雑誌
藍野学院紀要 (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.11-21, 2008

本研究の目的は, 臨地実習で認知症高齢者を受け持った看護学生がどのような感情を抱いたのかを明らかにすることである. そして, 認知症高齢者を受け持つ看護学生の指導や支援の一示唆を得ることである. 8名の看護学生に対して臨地実習で認知症高齢者を受け持った際に感じたことについてインタビューし, KJ法を用い分析した. その結果, 【予期しない言動にびっくりする】【思いが通じなく, もどかしい】【受け入れてもらえて嬉しい】【一緒にいることが楽しい】【ケアのポイントに気付けて, 充実感がある】【認知症高齢者は可哀想】の6カテゴリーが抽出された. 認知症高齢者に攻撃的発言や拒否反応を示され, 困惑しながら看護学生は感情のコントロールをしていた. そのような学生には, まず感情を表出・認知させるような関わりが教員には求められる. そして感情が生じた根源や, 高齢者の心身の状態について学生と共に考える時間を持つことが必要であると考えた.
著者
今本 喜久子 喜多 義邦 高田 政彦 日浦 美保 大町 弥生
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々は、科研補助金・基盤研究(C)を受けて平成13年から16年にわたって大学の近隣に在住の高齢ボランティア29名(男10名:女19名)と施設入所者15名(男3名:女12名)を対象に、身体的基礎データを4年間8回継続的に採取した。これらの測定は、身長、体重、BMI,体脂肪率、バイタルサインなどの身体的基礎データの他、握力と下肢筋力、ドプラーERによる足背動脈の血流速度、超音波測定装置Achillesによる踵骨の骨指標、Stabilo-101による重心動揺を含む。また、転倒・骨折についてのアンケート調査、食事と運動についての生活習慣調査も行った。調査期間中の転倒者は8名、骨折者は11名であった。身体的基礎データについては、4年間に大きな変化は認められなかったが、高齢者ほど身長の短縮が目立ち、加齢にともない体脂肪率が高くなる傾向がうかがえた。1.骨量については、第109回日本解剖学会(福岡2003)、第1回コメディカル形態機能学研究会(福岡2003)第16回日本看護研究学会地方会(神戸2003)で口頭発表した。良い運動習慣を維持することで骨指標を高めることができた高齢者がいる事実は、骨量減少に生活習慣の弊害が深く関与することを裏付けた。骨粗鬆症の予防対策は、後期高齢者にまで対象を広げて効果を上げるべきである。2.重心動揺と下肢筋力は骨量への影響が明らかで、これらの関係については滋賀医科大学看護学ジャーナル3巻1号(2005)に論文として発表した。重心動揺計による総軌跡長をパラメーターとしたバランス感覚の変化に注目すると、男性では閉眼時に動揺が高まる傾向が著明であり、加齢にともなう視力の低下がバランス感覚に影響することが推測された。3.下肢の足背動脈の血流速度については、第17回日本看護研究学会近畿地方会(京都2004)、第2回コメディカル形態機能学研究会(大津2004)に口頭発表した。対象者の加齢に伴う明朗な変化は認められなかった。著しく血流の流速波形が変化した数例で、動脈硬化の進行が推測され、その例では骨量の低下が認められた。