著者
江上 いすず 長谷川 昇 大矢 みどり
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.191-198, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

BMI 23.1以上の健康な肥満傾向の女子学生を対象に, 性格特性と食行動についての調査を行い, 類型化された摂食パターン及び性格特性と食行動の関係を探り, 以下の結果を得た。1) 肥満傾向の女子学生は, 性格特性における“反社会性”が低く (p<0.01) 現れた。2) 女子学生全体の食行動を因子分析した結果, 4因子が抽出され (累積寄与率は85%),“不規則因子”,“抑制力なし因子”,“外因性因子”,“ストレス因子”と解釈した。3) 女子学生の食行動因子の中で,“不規則因子”では肥満傾向のファーストフード志向の者に高く (p<0.01),“ストレス因子”ではボリューム志向の者に高く (p<0.05) 現れた。4) 肥満傾向の女子学生は性格特性の“情緒性”,“誠実さ”と食行動因子の“抑制力なし因子”,“ストレス因子”について, 正の相関が現れた。
著者
田口 和子 長野 みさを 大矢 みどり
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.95-106, 1991-04-01

本学学生を対象に調査を行った結果(1)生鮮魚類に関する調査(1)魚の購入に関するアンケート中井昭氏らの調査と比較しながら,学生の家庭では魚屋よりスーパーマーケットを65.7%利用し「近くだから」という理由で利用している.また魚の購入回数は「週2〜3回」の家庭が大半を占め,購入基準は新鮮さを選ぶ家庭が72.4%という傾向が得られた.(2) 魚の料理に関するアンケート学生の魚料理の回数については週2〜3回が67,7%となり,ほとんど魚料理を作らない家庭が219名中6家庭もあることが明らかになった.どのような調理法で食べるかは焼き物にして食べる方法が利用率が高く,利用率の低い調理方法は酢の物であった.好きな料理ではさんまの塩焼きであり,魚料理を減らした方がよい3.2%に対し,今後増やした方がよいと回答した学生35.2%あり,現状での魚離れは,進むことなく,むしろ魚料理の必要性を感じ取っているように思われる.(2)水産加工品に関する調査生鮮魚類や水産加工品は共に使用頻度の高いものが好まれる傾向があり,水産加工品の使用頻度は,「ほとんど毎日」が33.6%と生鮮魚類8.2%に比べると高くなっている.これは保存性と調理手間のかからない便利さからきているが,料理に幅広く応用できるツナ缶,かつお節,かまぼこ,竹輪の利用率は高く,好きな料理名ではツナサラダ,ツナサンド,たらこのスパゲッティと若い年代の好みの料理が出現してきている.また嫌いなものについての約半数の無回答者は水産加工品は嫌いだという感覚はなく食べられると推察できた.ただし塩辛については食べ馴れていないので敬遠しがちと考えられる.(3)生鮮魚類と水産加工品のイメージ調査この調査では多極性魚と高級魚などについて,対象者が日頃どのようなイメージを持つているか,また食嗜好因子に対する影響はどうか調査したが「口ざわり」「後味」「食欲」「味」「嗜好」の5段階の尺度のうち「普通点数O」から「よい点数+1」の評価の傾きがみられたので,魚嫌いの心配はないように感じられたがいわしと塩辛についてほ低い評価となり,パターン類似率も低い.竹輪とかまぼこはパターン類似率も高いが,えび,ぶり,さけ,まぐろなど高級魚指向として好まれるものにイメージ的な高いパターン類似率が得られた.今回の第1報では若い年代の生鮮魚類と水産加工品の消費動向を調査してきたが,今後は魚離れ,魚嫌いについて追求調査を行いたいと思う.