著者
長谷川 昇
出版者
東海学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
pp.77-102, 1965-04-20

In the 1st year of Meiji (1868), at the juncture of the Boshin War, which was fought between the Imperial Court and the Tokugawa Shogunate, a militia corps, known as Somo-Tai, was organized in great haste by the Owari Clan's command and was made to participate in the war. The present writer has tried to elucidate the character of this corps by restoring to the original state the process of organizing it, its war services, and the general movement of its personnel subsequent to the demobilization, in accordance with the new data discovered by himself. This is also an attempt to clarify the relation between the Jiyu-Minken Undo (an antigovernment movement during the second decade of Meiji) and chivalrous-spirited gamblers from the viewpoint of the Somo-Tai.
著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.201, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】炎症性腸疾患は、腸粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす難治性特定疾患の総称であり、過剰な過酸化物の生成により発症することが明らかとなっている。我々は、既に、脂肪細胞において、緑茶がSOD活性を増加させ、過酸化物の生成を抑制することを明らかにしている(第54回日本家政学会、東京、2003)。そこで、本研究は、2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)によって誘発される、炎症性腸疾患動物モデルに対する緑茶カテキン(-)-epigallocatechin-3-gallate (EGCG)の保護効果を確かめるために行われた。【方法】雄SDラット(180±20g)を用い、EGCG(30mg/kg)を10日間連続的に経口投与した。炎症性腸疾患は、TNBS50%エタノール水溶液(120mg/Kg)を直腸内投与することにより誘発させた。12時間後、大腸を採取し、炎症部位のダメージスコア、好中球浸潤の指標であるmyeloperoxidase(MPO)活性、superoxide dismutase(SOD)活性を測定した。【結果・考察】本研究の結果、TNBSによる潰瘍、出血を伴う炎症性大腸炎の症状と、MPO活性の有意な増加が見られた。この際、あらかじめ緑茶カテキンの主成分であるEGCGを投与しておくと、粘膜肥厚と出血が抑えられ、白血球の浸潤も抑制された。この原因として、EGCGがSOD活性を有意に増加させたため、ラジカルが補足され、腸粘膜が過酸化物による損傷から保護されたことによると考えられる。以上の結果を総合すると、EGCGは炎症性腸疾患に有効であることが明らかとなった。
著者
江上 いすず 長谷川 昇 大矢 みどり
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.191-198, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

BMI 23.1以上の健康な肥満傾向の女子学生を対象に, 性格特性と食行動についての調査を行い, 類型化された摂食パターン及び性格特性と食行動の関係を探り, 以下の結果を得た。1) 肥満傾向の女子学生は, 性格特性における“反社会性”が低く (p<0.01) 現れた。2) 女子学生全体の食行動を因子分析した結果, 4因子が抽出され (累積寄与率は85%),“不規則因子”,“抑制力なし因子”,“外因性因子”,“ストレス因子”と解釈した。3) 女子学生の食行動因子の中で,“不規則因子”では肥満傾向のファーストフード志向の者に高く (p<0.01),“ストレス因子”ではボリューム志向の者に高く (p<0.05) 現れた。4) 肥満傾向の女子学生は性格特性の“情緒性”,“誠実さ”と食行動因子の“抑制力なし因子”,“ストレス因子”について, 正の相関が現れた。
著者
望月 美也子 長谷川 昇
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.28, 2004 (Released:2005-04-02)

【目的】 茶(Camellia sinensis)は、近年、生理機能が多数解明され注目されている嗜好飲料である。我々は既に、粉末緑茶が高脂肪食を摂取させたZuckerラットの体重増加を抑制し、その原因は緑茶により脂肪細胞における脂肪分解が促進する事によることを明らかにしている。そこで本研究は、緑茶中の作用物質を特定する目的で、緑茶中の渋み成分である茶カテキン類の脂肪分解作用を確かめるために行われた。 【方法】 3T3-L1細胞を培養し、細胞がConfluenceに達した時点でインスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。脂肪分解作用は、充分に分化した脂肪細胞に茶カテキン類を添加し12_-_24時間反応後の細胞質中のグリセロール濃度、中性脂肪(TG)濃度を測定することにより判定した。【結果・考察】 細胞質のグリセロール濃度は、以下のような順になった。 (-)-epigallocatechin-3-gallate(EGCG) > コントロール> (+)-catechin緑茶カテキンの脂肪分解効果は、緑茶中に約53%含まれるEGCGによるものであることが明らかとなった。反対に、(+)-catechinは脂肪分解を抑制することが明らかとなった。これらの結果を総合すると、EGCGには強い脂肪分解作用がみられ、我々のこれまでに得たZuckerラットや、脂肪細胞での粉末緑茶の効果を裏付ける結果であると考えられた。一方、微量成分であるが、脂肪分解に対して反対の作用を示すカテキンの存在も確認された。
著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.116, 2007

<B>目的</B> 炎症性腸疾患は、腸粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす難治性特定疾患の総称であり、過剰な過酸化物の生成により発症することが明らかとなっている。一方、シクンシ科植物であるテルミナリアのその抽出物質であるセリコサイドは、<I>Terminalia sericea</I>の樹皮および根に由来し、アフリカや東南アジアでは、抗酸化作用を持つハーブとして民間療法に用いられている。そこで、本研究は、2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)によって誘発される、炎症性腸疾患動物モデルに対するセリコサイドの炎症性腸疾患保護効果を確かめるために行われた。<BR><B>方法</B> 雄SDラット(165±10g)を用い、セリコサイド(30mg/kg)を10日間連続的に経口投与した。その後、炎症性腸疾患を誘発させるためTNBS50%エタノール水溶液(120mg/Kg)を直腸内投与した。12時間後、大腸を採取し、炎症部位のダメージスコア、好中球浸潤の指標であるmyeloperoxidase(MPO)活性、superoxide dismutase(SOD)活性を測定した。<BR><B>結果・考察</B> 本研究の結果、TNBSによる潰瘍、出血を伴う炎症性大腸炎の症状と、MPO活性の有意な増加が見られた。この際、あらかじめセリコサイドを投与しておくと、粘膜肥厚と出血が抑えられ、白血球の浸潤も抑制された。以上の結果を総合すると、セリコサイドはTNBSによって惹起された炎症性腸疾患の粘膜保護に有効であることが明らかとなった。
著者
望月 美也子 重村 隼人 長谷川 昇
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.71, 2006

【目的】シクンシ科植物であるテルミナリアは、東アフリカなどの熱帯地方に約250種分布するといわれ、国内では沖縄県の海岸地帯に多く自生している。その抽出物質であるセリコサイドは、Terminalia sericeaの樹皮および根に由来し、アフリカや東南アジアではハーブとして民間療法に用いられている。そこで本研究では、抗肥満作用が報告されているセリコサイドに着目し、脂肪細胞の脂質代謝に及ぼす影響を確かめるために行われた。【方法】3T3-L1細胞を培養し、細胞がconfluenceに達した時点で、インスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。充分に脂肪を取り込んだ細胞に、セリコサイドを添加し、取り込まれた脂肪がどのように変化していくかを観察した。脂質動態の判定は、超音波処理細胞浸出液中の細胞質グリセロール量と細胞質中性脂肪量を測定した。【結果・考察】充分に脂肪を取り込んだ細胞に、セリコサイドを添加すると、コントロールに比べ蓄積脂肪が減少し、細胞質グリセロール量が増加する傾向がみられた。これらの結果は、セリコサイドの添加時間と濃度に依存的であった。
著者
望月 美也子 長谷川 昇 山田 恭子
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】自閉症スペクトラム障害(ASD)などを含む発達障害は、生まれつきの特性で、子どもの発達の早い時期から症状が現れ、その発達過程に大きな影響を与える。近年、ASD児は定型発達児と比較して、血清ビタミンD濃度(25(OH)D)が不足または欠乏状態であることが報告されている。そこで、本研究は、3歳児を対象者として、サプリメントの摂取による血清ビタミンD濃度の維持が、ASD児の症状緩和に及ぼす影響を明らかにするために行われた。【方法】保護者から同意が得られASDと診断された3歳児男女を対象者とした。血液検査として、25(OH)D、カルシウム濃度、iPTHを測定した。ASD対象児の評価は、小児自閉症評定尺度(CARS)、日本版VinelandⅡ適応行動尺度、短縮版感覚プロファイル(Short Sensory Profiles;SSP)を作業療法士が実施し、サプリメントの摂取前後で比較した。【結果・考察】血液検査より、25(OH)D欠乏状態の児が25%、不足の状態である児が63%であることが明らかとなった。欠乏および不足状態の児がサプリメントを摂取すると25(OH)Dが有意に増加した。自閉検査のうち、介入前と25(OH)Dが有意に増加した介入後を比較すると、CARSおよびSSPの値が低下することが明らかとなった。日本版VinelandⅡ適応行動尺度では、コミュニケーションおよび日常生活スキルにおいて変化が認められた。以上のことから、サプリメント摂取による血清ビタミンD濃度の維持は、ASD児の一部の症状を緩和することが示唆された。
著者
清水 暢子 松永 昌宏 長谷川 昇 梅村 朋弘 山田 恭子 望月 美也子 加藤 真弓
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

医学的管理が充実している日本の高齢者であっても、認知症予備群から認知症へ移行する数は増加の一途である。一方、チェンマイ県での認知症罹患率は、日本の6分の1程度に留まっている。そこで本研究の目的は、タイ北部農村部とタイの都市部の高齢者、日本の北陸地方の農村部と都市部の高齢者の、認知機能面、身体機能面、社会生活面、栄養摂取面、精神心理面、保健行動面を評価し、その影響要因について、また、継続して3年間の認知機能経年変化値や脳血流量変化量を従属変数に、生活習慣や環境、社会背景を説明変数として何が認知機能の経年変化に影響を与えているかを比較検討することであった。日本側の農村部および都市部在住の高齢者の調査から、ミニメンタルステートテスト(MMSE)の値と言語流暢性課題と運動課題を同時に行う二重課題実施中の前頭前野の脳血流との間に有意な関連がみられ、近赤外分光法(NIRS)を使用した前頭前野血流変化量は認知機能低下の予測因子として重要な指標となり得ることが示唆された。また高齢者の宗教観および社会的孤立が認知機能に及ぼす影響についての調査結果から日本の都市部と農村部ではMMSEとMOCAの認知機能検査結果に違いはなかったが、農村部では信仰有りが有意に高く、「信仰の有無」、「高齢者のうつ」、「社会的孤立状態」は認知機能の経年変化の予測因子になり得ることが示唆された。一方、タイ,チェンマイ市内都市部と農村部の3か所の高齢者サロンに通所する高齢者へ、半構成的インタビューを中心に行った結果からは、「老いることの意味」について全員が「老い」をポジティブに受け止めていた。タイ高齢者の宗教心が老いへ向かう態度や日々の生活への態度にポジティブに関連している可能性があった。宗教的背景が他者とかかわる機会を持たせ、「人の役に立つ」ことを満たすために、高齢であっても孤立しない環境である可能性があった。
著者
國友 宏渉 江上 いすず 長谷川 昇 鈴木 真由子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-79, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

日々の生活習慣が健康に与える影響は大きいといわれる.誤った生活習慣は年齢に関わらず, 生活習慣病と呼ばれる厄介な病気につながることがある.このことは大学生の学生生活, とりわけ不規則な生活スタイルに陥りやすい学生にとっては重大な問題である.そこで本研究は, 学生の生活習慣と健康状態との関係に着目し, どのような生活習慣が健康に対してどれだけの影響力をもつのか, また各生活習慣要因の相対的な影響力の位置関係がいかにあるのかについて明らかにしようとした.本調査によって得られたデータを分析した結果, 学生生活において日常的かつ基本的な生活習慣, 特に食生活に関わる習慣が健康状態を大きく左右する要因として浮かび上がった.中でも, 「食事の規則性」, 「睡眠時間」, 「欠食」などの要因が相対的に大きな規定力をもって現れた.また, 毎日の食品摂取の在り方においても, 「清涼飲料」, 「インスタント麺」, 「菓子類」等の過剰摂取が健康状態にマイナスの因子として働いていることが示唆された.
著者
望月 美也子 長谷川 昇 山田 徳広 東 善行
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.3, 2008 (Released:2008-11-10)

【目的】 アスタキサンチンは、カロテノイドの一種であり、エビやカニの殻、鮭の身などに含まれている赤橙色の色素である。既に、肥満マウスにおいて、アスタキサンチンの抗肥満作用が報告されているが、細胞レベルでのメカニズムの検討は行われていない。 そこで本研究では、3T3-L1脂肪細胞を用いて、細胞増殖の程度と脂質代謝に及ぼす影響を明らかにするために行われた。 【方法】 細胞増殖に及ぼす影響を調べる際には、3T3-L1細胞を培養し、アスタキサンチンを添加して、細胞がconfluenceに達するまでの経過を観察した。脂質代謝に及ぼす影響を調べる際には、細胞がconfluenceに達した時点で、インスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。充分に脂肪を取り込んだ細胞に、アスタキサンチンを添加し、取り込まれた脂肪がどのように変化していくかを観察した。 【結果・考察】 3T3-L1細胞を培養し、あらかじめアスタキサンチンを添加しておくと、前脂肪細胞の増殖を有意に減少させた。一方、充分に脂肪を取り込んだ成熟脂肪細胞に、アスタキサンチンを添加すると、コントロールに比べ蓄積脂肪が減少し、細胞質グリセロール量が増加する傾向がみられた。 以上のことから、アスタキサンチンは、脂肪細胞の増加を防ぎ、成熟脂肪細胞の蓄積脂肪を積極的に分解することが明らかとなった。
著者
望月 美也子 長谷川 昇
出版者
岐阜女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本邦において、女性の平均寿命が83歳を越え、閉経後女性人口が急増しているため、閉経後女性のquahty of life(QOL)の改善と更年期の諸症状を緩和させるかどうかを本研究の目的とした。平成16年度は、雌Zuckerラットの卵巣を摘出し、高脂肪食を摂取させることにより、更年期モデルラットの作成を試み、卵巣を摘出したラットの血清エストロゲン量の低下を経時的に確認して、更年期モデルラット作成法を確立した。平成17年度は、確立した更年期モデルラットを使用し、脂肪蓄積を促進させる緑茶カテキンを投与することで、更年期モデルラットの脂肪組織重量が増加するかどうかを確かめた結果、コントロール群と緑茶カテキン投与群の間に、摂食量、飲水量の有意な差がみられなかった。また、体重増加量をコントロール群と比較しても、ほぼ同様の傾向を示したが、コントロール群と緑茶カテキン投与群の子宮周囲脂肪組織重量に有意な差がみられたことから、緑茶カテキンの投与が、子宮周囲の脂肪組織重量に影響を及ぼす可能性が明らかとなった。そこで、平成18年度は、卵巣を摘出し更年期となったSD更年期モデルラットを、緑茶カテキン投与群、緑茶カテキン投与+運動群、非投与+運動群の3群に分け、運動負荷を与えた際の、骨代謝への効果を明らかにすることを目的とした。ランニングトレーニングは、実験動物用トレッドミルを用いて持久走的運動を行わせ、更年期を考慮し、傾斜6度、30m/m,1h/d,5d/wから速度と時間を徐々に増加させ行い、血清エストロゲン量をELISA法により経時的に測定し、大腿骨を破断して骨強度を測定した。以上の結果を総合すると、緑茶カテキンの投与と運動負荷が骨形成に有効であることが示唆され(論文執筆中)、本研究の結果を若手研究(B)に発展させ、更年期モデルニットを用いたトレーニング効果を詳細に明らかにしていく予定である。
著者
佐藤 弘和 長谷川 昇司 長坂 有
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.47-52, 2001-02-01
被引用文献数
6

畑地の浮遊土砂発生条件を明らかにするために,畑地(麦畑,秋まき大根畑)と対照区としての林地(落葉広葉樹林)において土壌物理性(貫入抵抗,基準浸入能,飽和透水係数)を測定し比較した。また,林地での浮遊土砂の捕捉効果を定量化するために緩傾斜林地に堰を設置し,降雨時の浮遊土砂濃度を測定した。貫入抵抗の鉛直プロファイルについてみると,麦畑と秋まき大根畑では時期によりプロファイルは異なり,麦畑と秋まき大根の畝間では表層約10cm程度に硬い層が存在した。また,営農活動が進行した麦畑と秋まき大根畑では,40cm程度の深さに硬い層が形成されていた。林地の貫入抵抗プロファイルは,時期による違いが認められず,畑地より低い値を示した。基準浸入能については,麦畑地では255mm h^<-1>,秋まき大根畑の畝では1000mm h^<-1>を超え,畝間では1mm h^<-1>と極めて低い値を示した。一方,林地の基準浸入能は1000mm h^<-1>を超えた。降雨時には,畑地で濁水化した地表流がみられた。これらの土壌物理性と現地観測結果から,営農活動が畑地の畝間の土壌浸透能ならびに土壌中の透水性を低下させることにより,地表流が発生しやすい状況になることが示唆された。林地を通過した濁水は,浮遊土砂負荷量が少ない場合が多く,濁水の大部分が基準浸入能の高い林地土壌に浸透したと考えられた。これより,畑地から河川への濁水負荷に対して,林地による濁水濾過効果は有効であることが確認された。