著者
中村 一樹 大矢 周平 木野村 遼 藤井 翔太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.769-776, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
15

リニア新幹線整備は,広域な観光ネットワーク形成に貢献することが期待されるが,沿線の大都市から周辺地方都市への周遊観光のような波及効果を生み出すかは疑問である.これは,地域交通の交通利便性の問題だけでなく,地域観光の拠点整備や情報提供の問題にも起因すると考えられる.そこで本研究は,リニア駅の近隣県となる三重県を対象に,都市別の余暇活動の特徴をSNSから整理し,リニア開通を想定した周遊観光の潜在的な選好を調査から把握する.まず,位置情報付きのSNS投稿データを用いて,三重県における観光資源の空間特性を把握する.そして,これらを含めた観光地情報を用いて,関東圏の住民を対象とした周遊観光の選好をWEBアンケートで調査する.最後に,周遊観光による各観光地の来訪意欲を,リニア整備の有無を考慮して明らかにする.
著者
大矢 周平 中村 一樹 板倉 颯
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_1147-I_1153, 2021

<p>自動車依存の限界はより顕著となり,公共交通を中心とした移動を安全で快適に行える都市空間の再整備は急務である.この中で,公共投資が難しい財政制約下では,複数の交通システムを繋ぐネットワーク整備の有効性も求められる.特に,駅周辺の歩行環境の質は,公共交通の利用意向に影響し得る.しかし,複数の交通手段による移動において,手段間の移動の質の相互関係は明らかでない.そこで本研究では,交通手段の組み合わせと移動の質の関係を把握する.まず,交通手段別の移動の質の評価手法について整理する.次に,移動ログデータを収集し,交通手段別に移動の質を評価するアンケートを行う.最後に,交通手段の組み合わせ別に前後の移動の質の評価との関係を分析する.この結果,交通手段の組み合わせにより移動の質の評価が異なることを示した.</p>