著者
大石 勝隆
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.121-127, 2021 (Released:2021-04-06)
参考文献数
27

健康の維持増進を目的とした従来の栄養学は,食品の栄養成分に焦点を当てた,食事の質と量に関する研究が中心であった。一方,食物の消化,吸収,代謝機能には日内リズム(サーカディアンリズム)が存在し,睡眠覚醒リズムや体温のリズムなどとともに,体内時計によって制御されている。従って,これらのサーカディアンリズムの乱れは,睡眠障害や生活習慣病などの様々な疾患を引き起こすことが知られている。最近になって,時間栄養学という研究分野が注目されている。時間栄養学とは,食品の機能性を利用した睡眠の改善や,生体リズムを利用した食リズムの改善などによって健康機能の向上を目指す学問のことである。本稿では,時間制限摂食による糖尿病や肥満症などの生活習慣病の改善効果について最近の知見を紹介する。
著者
大藏 直樹 大石 勝隆 谷口 雅彦 厚味 厳一
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

血栓を予防するとされる健康食品を対象にして探索を行い、 あした葉やプロポリスが血栓症予防効果を持つ可能性のある食品であることを見出した。また、あした葉に含まれるキサントアンゲロール、プロポリスの成分であるクリシンが有効な成分であることを示した。しかし、血液凝固系の日内変動を考慮した健康食品の摂取の有効性については明らかでない点が多く、機能性食品の開発に向けては今後も有効な物質の探索や摂取法の検討など、基礎的な研究を継続する必要がある。
著者
宮崎 歴 大石 勝隆 勢井 宏義
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は睡眠リズムのパターンを乱すようなこれまでの断眠ストレスとは異なる新規のストレス負荷方法 (PAWWストレス: Perpetual Avoidance from Water on a Wheel)を見いだした。PAWWストレスをマウスに負荷すると睡眠覚醒の日内リズムが乱れ、入眠障害や活動期の眠気、休息期の頻繁な覚醒などを示す。このモデルマウスに対し、食品成分の投与を行い、その睡眠に対する影響評価を行った。また、睡眠障害モデルマウスのから血液を採取し、NMRによるメタボローム解析を行い、睡眠障害のバイオマーカーになるような代謝物の差異が認められるかどうかを検証した。