著者
日暮 吉延
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、日本人戦犯釈放をめぐる戦後日本外交の政策と対応を一次資料にもとづいて分析するものである。研究代表者は、これまで戦犯釈放問題に関して、対日講和条約発効(日本の主権回復)の前と後に分けたうえで「連合国側の行動」を分析した。これに対して、本研究が取り組んだのは、1950 年代の日本外交が戦犯釈放問題でどのような行動をとったのか、この問題に関する事実を解明することである。そして、この「日本側の行動」は上記の「連合国側の行動」と統合され、研究代表者の「日本人戦犯釈放史」が完成することとなる。
著者
佐々木 茂 渡辺 博芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

著者らは,質の高い Web 教材開発のため,インストラクショナルデザインのモデルに沿って授業全体の構成や流れを記述した「授業アウトライン」を作成するとともに,教材そのものの設計に特化した「コンテンツアウトライン」を作成する手法を提案している.本研究では,この手法をシステム的なプロセスと考え,この手順に沿った授業・教材設計を支援するツールを開発した.また本ツールを用いた教材コンテンツの設計・開発を実践した.
著者
大藏 直樹 大石 勝隆 谷口 雅彦 厚味 厳一
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

血栓を予防するとされる健康食品を対象にして探索を行い、 あした葉やプロポリスが血栓症予防効果を持つ可能性のある食品であることを見出した。また、あした葉に含まれるキサントアンゲロール、プロポリスの成分であるクリシンが有効な成分であることを示した。しかし、血液凝固系の日内変動を考慮した健康食品の摂取の有効性については明らかでない点が多く、機能性食品の開発に向けては今後も有効な物質の探索や摂取法の検討など、基礎的な研究を継続する必要がある。
著者
大野 雅子
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

17世紀後半に東インド会社によってイギリスに持ち込まれた紅茶や陶磁器などの茶道具は、富裕層にとっては自らが上品でポライトな階級に属していることを示すための重要な物質文化を形成した。紅茶や茶道具に熱狂する女性は17世紀から18世紀にかけての文学作品に数多く登場し、皮肉や揶揄の対象となる。さらに、女性の物欲の激しさは性欲の激しさと同一化される。聖書に始まる女性蔑視の伝統は紅茶と陶磁器という新たなメタファーを得ると同時に、「脆き器」としての女性はその激しい欲望を携えて消費文化の中を跋扈する存在となるのである。
著者
坂本 英俊 藤本 萌 福田 悟
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015 (Released:2015-04-16)

本研究は敗血症性脳症において、睡眠・覚醒をつかさどる神経核の機能異常の解明と共に睡眠・覚醒サイクルを制御すると考えられる視交叉上核への影響を明らかにすることである。最初の課題は、視交叉上核により制御されている松果体からのメラトニン放出が安定して測定できるマイクロダイアリシス法を確立することであった。従来の方法は、上矢上静脈洞からの出血や松果体までの距離が長く手技的に問題であった。我々の新手法は、マイクロダイアリシスガイドカニューラを松果体右上方から角度17°にてアプローチするもので、特殊な回路を必要とせず出血の危険性もない。この方法でラットにおける暗期(20時~8時)のメラトニン分泌量を測定したところ、1日目0.30±0.38、2日目0.21±0.20、3日目0.15±0.16、4日目0.15±0.15(pmol、平均±標準偏差)の放出がみられた。一方、明期(8時~20時)ではメラトニン分泌量は1日目0.07±0.10、2日目0.02±0.02、3日目0.01±0.01、4日目0.01±0.01(pmol)とごく微量であった。我々の開発した新メラトニン測定法は、従来の方法による結果とほぼ同じであり、今後の睡眠・覚醒研究に有効と考えられた。次に、この手法を用いて敗血症性脳症時の暗期メラトニン放出を検討した。敗血症性脳症モデルとしては、脳内での炎症を媒介する蛋白であるHigh mobility group box 1蛋白(HMGB1)脳室内投与モデルを用いた。HMGB1を1μg/5μl脳室内投与すると、1日目および2日目のHMGB1投与群の暗期メラトニン放出量は生理食塩水投与群に比較しどちらも有意に抑制された(P<0.01二元配置分散分析)が、3、4日目の放出量は影響されなかった。以上の結果より、敗血症性脳症時にはメラトニン放出が抑制され睡眠・覚醒に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
森谷 公俊
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

紀元前326年から325年にかけての、古代インド(現パキスタン)におけるアレクサンドロス遠征路のうち、タクシラからインダス河口付近までを対象として、遠征経路および主な戦場の実地調査を行った。前半の概要は次の通りである。①古代タクシラ王国の首都であるタクシラ遺跡で、大王来訪時の遺構を実見した。②現ジェルム河畔におけるポーロス王との会戦場については、陸路で川に接近できる地点が限られるため、両軍の陣地ならびに戦場を特定するには至らなかった。ただし大王の渡河点付近に記念碑が建てられていることが判明した。③マケドニア艦隊が大きな被害を受けた2つのインダス支流の合流点には、ボートで接近し、合流点の様子を間近に見ることができた。④マッロイ人との激戦が行われた地域では、大王が占領した都市の一つと思われるタランバで、大規模な城塞の遺構が手つかずで残っているのを発見した。ただし具体的な年代は確定できない。後半の概要は次のとおりである。①インダス川の最も南にかかる橋から、川の様子を撮影することができた。乾季のため水量は少なく、雨期に通過した大王軍の様子を思い浮かべるのは難しかった。②ブラフマン族の都市に同定されるマンスラは、大王の側近プトレマイオスが瀕死の重傷を負った地点である。若干の遺構が残るものの、広大な区域に土器の破片が散乱し、全く手つかずで、年代の特定には至らなかった。③インダス河畔のセーワンには小高い丘があり、整然と積まれたレンガの壁が残っていた。遺構はかなり後のものと思われるが、インダス川を下るマケドニア人がこれを見たことは確実と思われ、大王がここに立ち寄った可能性がある。
著者
高橋 正明
出版者
帝京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28 (Released:2015-08-26)

本研究は、社会構造上の差別の是正の在り方に焦点を当てつつ、憲法上の平等原則の保障内容及び法規範性の全体像を明確化することを目的とするものである。具体的には、「社会構造上の差別」に該当する行為を、①法令の文言上は人種や性別に中立的であるものの、社会構造上の理由により、特定の人種や性別に属する者に不均衡な効果をもたらす国家行為、②私人による種々の差別行為、に類型化した上で、その立法及び司法的規制の在り方について、アメリカ・カナダの議論を素材に憲法の観点から分析を行った。まず、研究計画書に従い、2016年2月、上記①・②に関する先駆的研究者であるジョージ・ワシントン大学のMichael Selmi教授及びブリティッシュ・コロンビア大学のMargot Young教授と意見交換を行った。意見交換では、アメリカ・カナダの平等理論が対照的な性格を有することもあり、本研究の方向性に関しても両教授から異なった角度からの意見を得ることができた。これによって、本研究の方向性及び我が国における本研究の独自性を複合的視点から相対的に把握することができた。また、アメリカ議会図書館及びブリティッシュ・コロンビア大学法学部図書館において、本研究に関係する資料の収集を行った。次に、社会構造上の差別の是正に関する基礎的分析視角については、憲法上の平等原則の保障内容に関する総論的考察を行うにあたって言及しており、その成果は、拙稿「憲法上の平等原則の解釈について(一)~(三)・完――社会構造的差別の是正に向けて――」に反映させた。また、アメリカ連邦最高裁判例の平等理論についても、アファーマティブ・アクションの違憲審査の在り方を論じる際に、その意義と課題を論じており、その成果は、拙稿「アファーマティブ・アクションの違憲審査の在り方について――『動機審査理論』と『成果主義理論』の検討を中心に――」に反映させた。
著者
杉本 真樹
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

膵胆道内に二酸化炭素CO_2投与下に陰性造影剤として利用したMulti detector-row CT(MDCT)による膵胆道造影CO_2 MDCT cholangio-pancreatography (CO_2MDCT-CP)を確立した.さらに仮想内視鏡および動静脈再構築をfusion(重ね合わせ)させ,術中診断,術式,病理診断と併せて検討し,画像診断と臨床病態の相関性を解析した。また消化器肝胆膵領域のビジュアリゼーションや手術シミュレーションを客観的に捉える撮影技術と解析ツールによるシステムを構築した.これにより消化器外科、特に肝胆膵領域の手術において,実質臓器と消化管、膵胆道と血管解剖を統合的に把握することができ,的確な診断治療とその教育に有用なソフトウェアを開発できる環境を整備した.これまで蓄積してきた症例のMDCTデータベースを元に,術前診断と行われた術式、実際の病理所見と術後経過、予後について解析し、CO_2MDCT-CPの3次元モニター診断解析能を向上させ,外科手術支援としての有効性を証明した.本年度はさらに術野重畳表示法を開発し,二酸化炭素造影MDCTによる手術支援の精度を向上させた.これらの成果は,国内外で多数の学会,講演にて発表した.また15th International Congress of the European Association for Endoscopic Surgery(第15回欧州内視鏡外科学会国際大会)EAES VIDEO AWARD(2007.7),The 8th World Congress of the International Hepato-Pancreato-Biliary Association(第8回国際肝胆膵学会国際大会)President plenary paper(2008.2),平成19年度帝京大学藤井儔子学術奨励賞(2008.3)を受賞した
著者
上岡 真紀子
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

本研究の目的は、ラーニングコモンズにおいて教授・学習支援を担当する専門的図書館員の人物モデルを示し、その養成プログラムを開発することである。今年度は、文献調査により抽出したグッドプラクティスを対象に、訪問調査を実施した。今回は、特に、専門的図書館員が、全学レベルでの教授・学習改革や改善のためのプロジェクトで活躍した事例を抽出した。対象となったのは、エモリー大学オックスフォードカレッジ、トリニティ大学、パデュー大学である。現地では、専門的図書館員の設置の経緯、的教育改善プロジェクトの概要、プロジェクトとの関わり、具体的活動内容、および成果について、プロジェクトの関係者と専門的図書館員にインタビューを行った。エモリー大学オックスフォードカレッジでは、図書館長にインタビューを実施し、全学のSoTLプログラムへの参加とカリキュラムマッピングのプロジェクトについてインタビューを行った。トリニティ大学では、一昨年度に終了した全学的教育改善プロジェクトについて、プロジェクトで中心的役割を果たした図書館員のコーディネーターをはじめ、図書館長、カリキュラム担当副学長、IR担当副学長、プログラムに参加した教員など関係者へのインタビューを実施した。パデュー大学では、現在進行中のプロジェクトについて、図書館のコーディネーター、ファカルティディべロップメントセンター長、ICT支援担当者へのインタビューに加え、プロジェクトの代表メンバーとプロジェクト参加者を交えてプロジェクトの経験と成果についてのディスカッションを行い、さらに、実際のプロジェクトのワークショップにファシリテーターとして参加し、プログラムの実際の様子を観察するとともに参加者へのインタビューを実施した。今後、入手したデータを分析し、教授・学習支援を担当する専門的図書館員のプロジェクトへの関わりと、人物像を検討する予定である。
著者
柿沼 陽平
出版者
帝京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-11-27)

申請者はこれまで、中国古代において貨幣(経済的流通手段)とそれを中心とする貨幣経済が具体的にいつどのように展開し、それが当時の社会にいかなる影響を与えたのか、また当時の人びとがそれにどう対処したのかについて検討してきた。本課題はその一環をなすもので、とくに前漢武帝~王莽期の貨幣経済史について検討した。検討の結果、前漢後半期~王莽期の貨幣経済の動態は、従来一般に想定されているほどに激変を伴ったものではなく、むしろ継続的側面が濃厚であると考えるに至った。またその反面、前漢貨幣経済は武帝期に大きく変化したようである。
著者
千森 幹子 BEER Dame Gillian SCOTT Clive
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究は、ポストコロニアル的観点から、1860年代から1920年代にいたる英版文学図像におけるオリエント表象を、政治社会文化美術的背景から、西洋と日本(東洋)の交差として、考察する学際研究であり、カルチュラルスタディズである。本研究では、ケーススタディとして取り上げた文学作品図像に見るオリエント表象を、中東・中国・日本イメージの混在・分化・変容の過程から考察し、この時期、英国がなぜオリエントに魅惑され、何を受容表象しようとしたのか、その現実との乖離を、政治(植民地政策等)文化美術社会ジェンダーなど多領域から検証し、西洋的価値体系におけるオリエント表象の位相を解明することを、目的とする。
著者
内貴 滋
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究は、我が国が道州制を将来の目標として、国と地方の構造改革を進めているこの時期に、地方自治の母国といわれる英国において地方構造の一層制への改革、スコットランド独立に象徴される分権政府への権限委譲問題、地域の決定を尊重する地域主義法の成立など大きな構造改革が進展している状況を明らかにし、その課題を分析することにより、日英双方の国と地方の構造改革への新たな提言を行う。
著者
サルカルアラニ モハメドレザ 石田 隆城 柴田 好章 中島 繁雄 深谷 孟延 石川 芳孝 坂野 久美 水野 正朗
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究の目的は、授業に深く関わる文化的スクリプトを解明することであった。異なる文化的背景を有する者の“レンズ”を通すことで、文化的コード(例:誤り、雰囲気など)の抽出が可能となり、考察(討論)を通して文化的スクリプト(例:主体的・個別的・構成主義的スクリプトなど)を明らかにすることができた。比較授業分析の結果、複数の文化的スクリプトが併存しており、時にそれらが協調したり競合したりしながら、授業が成立していることが明らかにされた。また、同一文化内では気付きにくい文化的特徴が相対化されるという比較授業分析の可能性が示された。
著者
三上 岳彦 高橋 日出男 森島 済 日下 博幸
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

東京首都圏 200 カ所の高密度気温観測データと気象庁 AMeDASの風観測データを用いて、夏季気温分布の時空間変動および要因解明を試みた。夏季の海風卓越日と強い単風日について気温偏差分布の日変化のデータ解析および夏季典型日(夏型)を対象とした気温と風の再現実験(WRF モデル)から、関東平野内陸部での高温域に及ぼす風の効果が明らか担った。また、WRF モデルによる都市型集中豪雨の数値シミュレーションを行った結果、都市の存在が首都圏に降雨をもたらす可能性が示唆された。
著者
西沢 保 後藤 玲子
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

平成26年度の研究成果は、History of Economic Ideas の Special Issue (vol.xxii, no.1) として Nishizawa, Caldari, Dardi 編で“Aspects of the History of Welfare Economics”が刊行されたことである。これはこれまでの西沢と研究協力者Backhouse, Dardi, Caldariらとの共同研究「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」を世界に向けて発表するというものであり、研究成果から6つの論文を選んで編集してある。これとほぼ同時に国内でも『経済研究』(一橋大学)の小特集「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」が刊行され、こちらには関連する研究成果で、4つの論文が含まれている。また平井俊顕監訳『リターン・トウ・ケインズ』(東大出版会・9月刊行)、西沢保監訳『資本主義の革命家 ケインズ』(作品社・8月刊行)も関連する研究成果である。"Liberalism and the Welfare State: from new liberalism to neo-liberalism"の出版準備も進行している。3月20-22日の3日間、国際コンファレンス(第1部 ‘Welfare economics and the welfare state in historical perspective’、第2部 ‘Globalization and Financial Market’)を一橋大学で行い、海外から15名招聘し合計18のペーパーが報告され、大きな成果があった。
著者
三浦 悌二
出版者
帝京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988 (Released:1988-04-01)

今回の研究対象としたハッテライトは、ヨーロッパ、ロシアを経て、19世紀末にアメリカ、カナダに移住したキリスト教の一派で、きわめて多産な集団として有名である。研究代表者が今世紀前半の日本のデータから推測した「季節性の不妊」が、この集団にも起っているかどうかを知ることが今回の研究の基本的な目的であった。出生結婚などが書かれた家族単位の台帳を入手し、計算機に入力して解析を行なった。1.出生の季節性とその長期変動:ハッテライトの結婚の季節には大きな偏り(10月と11月、近年ではさらに6月が多い)があり、第1子の出生季節に強く影響していた。この影響を除くと、春と秋にやや多く、初夏に少ないという、かつてのヨーロッパや日本と類似した型であったが、その変動幅は年平均を中心として±10%未満であり、とくに20世紀に入ってからは変動が小さかった。2.結婚初産間隔:1966年以降生れの母親では中央値が10.5か月と短く、19世紀の12〜15か月と比較しても短かかった。この結果からは、この集団の潜在的出産力が近年減少しているという見方は支持できない。3.母親の出生季節別にみたハッテライトの出生季節性:初夏の出生数の減少が環境中の季節性不妊因子によるとする仮説を、この季節生れの母親が年間平均して出産していた日本のデータから提唱してきた。同様にして今回の集団で、第1子を除いた出生の季節分布を母親の出生季節別に比較したが、各群に顕著な差は認めなかった。4.双生児出産の季節性と母親の出生季節:この集団の双生児出産頻度は0.9%と、一般の西欧白人の1.1%に比べて高くなかった。しかし5ー7月での頻度が少なく、また5ー7月生れの母親で異性双生児が有意に少なかったことから、季節性にはたらく環境要因が、多排卵、もしくは双生児の着床・妊娠の維持に作用している可能性も考えられた。
著者
林 勉 水島 義治 曽倉 岑 小野 寛 遠藤 宏 岩下 武彦
出版者
帝京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991 (Released:1991-04-01)

1萬葉集の古写本を『校本萬葉集』未収のものも含めて全体を総覧できる,表を中心とした解説にさらに改訂を加え充実したものを発表した。2特に西本願寺本について,新しいポジカラーフィルムによる調査を重ねて疑問点を明らかにし,原本の巻六〜十を再度直接に調査できた。3西本願寺本の無修正モノクロ影印の作成を始め,巻一〜五を刊行し,従来の竹柏会や主婦の友社版複製の修正に伴う誤りを正した。4また西本願寺本の翻刻を,本文や訓のほかヲコト点や声点,さらに見せ消ち,削訂,重書も注記することにし,漢字の字体も原本をなるべく生かすよにし,巻第一〜五を影印に添えて刊行することができた。5仙覚改訓を示す青訓が変褪色し,朱・墨等で重書しているのに注意し,三度の重書の箇所も多く指摘できた。竹柏会複製では全て青色に復元,主婦の友社複製は,記号や書入を修正する誤りを避けることができた。6影印,特に翻刻とその注記は極めて高度な内容であるので,フィルムや原本で確かめ,また印刷上の誤植などにも細心の注意を払い,若い研究者や大学院生達の協力を得て,万全を期することに精力をこめた。7他の新点本についても神宮文庫本,陽明本,大矢本,近衛本,京大本等の調査を重ねて,西本願寺本底本の校異を,ほぼ全巻につけた。『校本萬葉集』の誤脱の指摘も,特に神宮文庫本においてかなり進んだ。8古次点本の調査は従って余り進めることができなかったが,広瀬本等新出資料についても調べねばならないが伝冷泉為頼筆本に近い。9全体の研究集約は基本となる西本願寺本複製の完成を待たねばならない。次年度中には全巻完成を見,その上に立って校異編を別冊として刊行を予定しているが,これもかなり細かな注意と忍耐が必要である。10西本願寺本複製刊行が中心となったので,そのための資料・コピー代や連絡代が必要となり,調査のための旅費が減ったのは止むを得ない。