著者
日暮 吉延
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、日本人戦犯釈放をめぐる戦後日本外交の政策と対応を一次資料にもとづいて分析するものである。研究代表者は、これまで戦犯釈放問題に関して、対日講和条約発効(日本の主権回復)の前と後に分けたうえで「連合国側の行動」を分析した。これに対して、本研究が取り組んだのは、1950 年代の日本外交が戦犯釈放問題でどのような行動をとったのか、この問題に関する事実を解明することである。そして、この「日本側の行動」は上記の「連合国側の行動」と統合され、研究代表者の「日本人戦犯釈放史」が完成することとなる。
著者
佐々木 茂 渡辺 博芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

著者らは,質の高い Web 教材開発のため,インストラクショナルデザインのモデルに沿って授業全体の構成や流れを記述した「授業アウトライン」を作成するとともに,教材そのものの設計に特化した「コンテンツアウトライン」を作成する手法を提案している.本研究では,この手法をシステム的なプロセスと考え,この手順に沿った授業・教材設計を支援するツールを開発した.また本ツールを用いた教材コンテンツの設計・開発を実践した.
著者
大藏 直樹 大石 勝隆 谷口 雅彦 厚味 厳一
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

血栓を予防するとされる健康食品を対象にして探索を行い、 あした葉やプロポリスが血栓症予防効果を持つ可能性のある食品であることを見出した。また、あした葉に含まれるキサントアンゲロール、プロポリスの成分であるクリシンが有効な成分であることを示した。しかし、血液凝固系の日内変動を考慮した健康食品の摂取の有効性については明らかでない点が多く、機能性食品の開発に向けては今後も有効な物質の探索や摂取法の検討など、基礎的な研究を継続する必要がある。
著者
大野 雅子
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

17世紀後半に東インド会社によってイギリスに持ち込まれた紅茶や陶磁器などの茶道具は、富裕層にとっては自らが上品でポライトな階級に属していることを示すための重要な物質文化を形成した。紅茶や茶道具に熱狂する女性は17世紀から18世紀にかけての文学作品に数多く登場し、皮肉や揶揄の対象となる。さらに、女性の物欲の激しさは性欲の激しさと同一化される。聖書に始まる女性蔑視の伝統は紅茶と陶磁器という新たなメタファーを得ると同時に、「脆き器」としての女性はその激しい欲望を携えて消費文化の中を跋扈する存在となるのである。
著者
高橋 正明
出版者
帝京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28 (Released:2015-08-26)

本研究は、社会構造上の差別の是正の在り方に焦点を当てつつ、憲法上の平等原則の保障内容及び法規範性の全体像を明確化することを目的とするものである。具体的には、「社会構造上の差別」に該当する行為を、①法令の文言上は人種や性別に中立的であるものの、社会構造上の理由により、特定の人種や性別に属する者に不均衡な効果をもたらす国家行為、②私人による種々の差別行為、に類型化した上で、その立法及び司法的規制の在り方について、アメリカ・カナダの議論を素材に憲法の観点から分析を行った。まず、研究計画書に従い、2016年2月、上記①・②に関する先駆的研究者であるジョージ・ワシントン大学のMichael Selmi教授及びブリティッシュ・コロンビア大学のMargot Young教授と意見交換を行った。意見交換では、アメリカ・カナダの平等理論が対照的な性格を有することもあり、本研究の方向性に関しても両教授から異なった角度からの意見を得ることができた。これによって、本研究の方向性及び我が国における本研究の独自性を複合的視点から相対的に把握することができた。また、アメリカ議会図書館及びブリティッシュ・コロンビア大学法学部図書館において、本研究に関係する資料の収集を行った。次に、社会構造上の差別の是正に関する基礎的分析視角については、憲法上の平等原則の保障内容に関する総論的考察を行うにあたって言及しており、その成果は、拙稿「憲法上の平等原則の解釈について(一)~(三)・完――社会構造的差別の是正に向けて――」に反映させた。また、アメリカ連邦最高裁判例の平等理論についても、アファーマティブ・アクションの違憲審査の在り方を論じる際に、その意義と課題を論じており、その成果は、拙稿「アファーマティブ・アクションの違憲審査の在り方について――『動機審査理論』と『成果主義理論』の検討を中心に――」に反映させた。
著者
杉本 真樹
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

膵胆道内に二酸化炭素CO_2投与下に陰性造影剤として利用したMulti detector-row CT(MDCT)による膵胆道造影CO_2 MDCT cholangio-pancreatography (CO_2MDCT-CP)を確立した.さらに仮想内視鏡および動静脈再構築をfusion(重ね合わせ)させ,術中診断,術式,病理診断と併せて検討し,画像診断と臨床病態の相関性を解析した。また消化器肝胆膵領域のビジュアリゼーションや手術シミュレーションを客観的に捉える撮影技術と解析ツールによるシステムを構築した.これにより消化器外科、特に肝胆膵領域の手術において,実質臓器と消化管、膵胆道と血管解剖を統合的に把握することができ,的確な診断治療とその教育に有用なソフトウェアを開発できる環境を整備した.これまで蓄積してきた症例のMDCTデータベースを元に,術前診断と行われた術式、実際の病理所見と術後経過、予後について解析し、CO_2MDCT-CPの3次元モニター診断解析能を向上させ,外科手術支援としての有効性を証明した.本年度はさらに術野重畳表示法を開発し,二酸化炭素造影MDCTによる手術支援の精度を向上させた.これらの成果は,国内外で多数の学会,講演にて発表した.また15th International Congress of the European Association for Endoscopic Surgery(第15回欧州内視鏡外科学会国際大会)EAES VIDEO AWARD(2007.7),The 8th World Congress of the International Hepato-Pancreato-Biliary Association(第8回国際肝胆膵学会国際大会)President plenary paper(2008.2),平成19年度帝京大学藤井儔子学術奨励賞(2008.3)を受賞した
著者
千森 幹子 BEER Dame Gillian SCOTT Clive
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究は、ポストコロニアル的観点から、1860年代から1920年代にいたる英版文学図像におけるオリエント表象を、政治社会文化美術的背景から、西洋と日本(東洋)の交差として、考察する学際研究であり、カルチュラルスタディズである。本研究では、ケーススタディとして取り上げた文学作品図像に見るオリエント表象を、中東・中国・日本イメージの混在・分化・変容の過程から考察し、この時期、英国がなぜオリエントに魅惑され、何を受容表象しようとしたのか、その現実との乖離を、政治(植民地政策等)文化美術社会ジェンダーなど多領域から検証し、西洋的価値体系におけるオリエント表象の位相を解明することを、目的とする。
著者
内貴 滋
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究は、我が国が道州制を将来の目標として、国と地方の構造改革を進めているこの時期に、地方自治の母国といわれる英国において地方構造の一層制への改革、スコットランド独立に象徴される分権政府への権限委譲問題、地域の決定を尊重する地域主義法の成立など大きな構造改革が進展している状況を明らかにし、その課題を分析することにより、日英双方の国と地方の構造改革への新たな提言を行う。
著者
サルカルアラニ モハメドレザ 石田 隆城 柴田 好章 中島 繁雄 深谷 孟延 石川 芳孝 坂野 久美 水野 正朗
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究の目的は、授業に深く関わる文化的スクリプトを解明することであった。異なる文化的背景を有する者の“レンズ”を通すことで、文化的コード(例:誤り、雰囲気など)の抽出が可能となり、考察(討論)を通して文化的スクリプト(例:主体的・個別的・構成主義的スクリプトなど)を明らかにすることができた。比較授業分析の結果、複数の文化的スクリプトが併存しており、時にそれらが協調したり競合したりしながら、授業が成立していることが明らかにされた。また、同一文化内では気付きにくい文化的特徴が相対化されるという比較授業分析の可能性が示された。
著者
三上 岳彦 高橋 日出男 森島 済 日下 博幸
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

東京首都圏 200 カ所の高密度気温観測データと気象庁 AMeDASの風観測データを用いて、夏季気温分布の時空間変動および要因解明を試みた。夏季の海風卓越日と強い単風日について気温偏差分布の日変化のデータ解析および夏季典型日(夏型)を対象とした気温と風の再現実験(WRF モデル)から、関東平野内陸部での高温域に及ぼす風の効果が明らか担った。また、WRF モデルによる都市型集中豪雨の数値シミュレーションを行った結果、都市の存在が首都圏に降雨をもたらす可能性が示唆された。
著者
西沢 保 後藤 玲子
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

平成26年度の研究成果は、History of Economic Ideas の Special Issue (vol.xxii, no.1) として Nishizawa, Caldari, Dardi 編で“Aspects of the History of Welfare Economics”が刊行されたことである。これはこれまでの西沢と研究協力者Backhouse, Dardi, Caldariらとの共同研究「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」を世界に向けて発表するというものであり、研究成果から6つの論文を選んで編集してある。これとほぼ同時に国内でも『経済研究』(一橋大学)の小特集「厚生経済学と福祉国家の歴史的検証」が刊行され、こちらには関連する研究成果で、4つの論文が含まれている。また平井俊顕監訳『リターン・トウ・ケインズ』(東大出版会・9月刊行)、西沢保監訳『資本主義の革命家 ケインズ』(作品社・8月刊行)も関連する研究成果である。"Liberalism and the Welfare State: from new liberalism to neo-liberalism"の出版準備も進行している。3月20-22日の3日間、国際コンファレンス(第1部 ‘Welfare economics and the welfare state in historical perspective’、第2部 ‘Globalization and Financial Market’)を一橋大学で行い、海外から15名招聘し合計18のペーパーが報告され、大きな成果があった。
著者
三浦 悌二
出版者
帝京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988 (Released:1988-04-01)

今回の研究対象としたハッテライトは、ヨーロッパ、ロシアを経て、19世紀末にアメリカ、カナダに移住したキリスト教の一派で、きわめて多産な集団として有名である。研究代表者が今世紀前半の日本のデータから推測した「季節性の不妊」が、この集団にも起っているかどうかを知ることが今回の研究の基本的な目的であった。出生結婚などが書かれた家族単位の台帳を入手し、計算機に入力して解析を行なった。1.出生の季節性とその長期変動:ハッテライトの結婚の季節には大きな偏り(10月と11月、近年ではさらに6月が多い)があり、第1子の出生季節に強く影響していた。この影響を除くと、春と秋にやや多く、初夏に少ないという、かつてのヨーロッパや日本と類似した型であったが、その変動幅は年平均を中心として±10%未満であり、とくに20世紀に入ってからは変動が小さかった。2.結婚初産間隔:1966年以降生れの母親では中央値が10.5か月と短く、19世紀の12〜15か月と比較しても短かかった。この結果からは、この集団の潜在的出産力が近年減少しているという見方は支持できない。3.母親の出生季節別にみたハッテライトの出生季節性:初夏の出生数の減少が環境中の季節性不妊因子によるとする仮説を、この季節生れの母親が年間平均して出産していた日本のデータから提唱してきた。同様にして今回の集団で、第1子を除いた出生の季節分布を母親の出生季節別に比較したが、各群に顕著な差は認めなかった。4.双生児出産の季節性と母親の出生季節:この集団の双生児出産頻度は0.9%と、一般の西欧白人の1.1%に比べて高くなかった。しかし5ー7月での頻度が少なく、また5ー7月生れの母親で異性双生児が有意に少なかったことから、季節性にはたらく環境要因が、多排卵、もしくは双生児の着床・妊娠の維持に作用している可能性も考えられた。
著者
林 勉 水島 義治 曽倉 岑 小野 寛 遠藤 宏 岩下 武彦
出版者
帝京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991 (Released:1991-04-01)

1萬葉集の古写本を『校本萬葉集』未収のものも含めて全体を総覧できる,表を中心とした解説にさらに改訂を加え充実したものを発表した。2特に西本願寺本について,新しいポジカラーフィルムによる調査を重ねて疑問点を明らかにし,原本の巻六〜十を再度直接に調査できた。3西本願寺本の無修正モノクロ影印の作成を始め,巻一〜五を刊行し,従来の竹柏会や主婦の友社版複製の修正に伴う誤りを正した。4また西本願寺本の翻刻を,本文や訓のほかヲコト点や声点,さらに見せ消ち,削訂,重書も注記することにし,漢字の字体も原本をなるべく生かすよにし,巻第一〜五を影印に添えて刊行することができた。5仙覚改訓を示す青訓が変褪色し,朱・墨等で重書しているのに注意し,三度の重書の箇所も多く指摘できた。竹柏会複製では全て青色に復元,主婦の友社複製は,記号や書入を修正する誤りを避けることができた。6影印,特に翻刻とその注記は極めて高度な内容であるので,フィルムや原本で確かめ,また印刷上の誤植などにも細心の注意を払い,若い研究者や大学院生達の協力を得て,万全を期することに精力をこめた。7他の新点本についても神宮文庫本,陽明本,大矢本,近衛本,京大本等の調査を重ねて,西本願寺本底本の校異を,ほぼ全巻につけた。『校本萬葉集』の誤脱の指摘も,特に神宮文庫本においてかなり進んだ。8古次点本の調査は従って余り進めることができなかったが,広瀬本等新出資料についても調べねばならないが伝冷泉為頼筆本に近い。9全体の研究集約は基本となる西本願寺本複製の完成を待たねばならない。次年度中には全巻完成を見,その上に立って校異編を別冊として刊行を予定しているが,これもかなり細かな注意と忍耐が必要である。10西本願寺本複製刊行が中心となったので,そのための資料・コピー代や連絡代が必要となり,調査のための旅費が減ったのは止むを得ない。
著者
土屋 千尋 齋藤 ひろみ
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

研究代表者土屋と分担者齋藤は、全国でも有数の外国人集住地域を校区とする小学校に研究の拠点をおき、学校・大学・地域の三者の連携・協働による子どもの学習環境づくりの実践的研究をおこなった。土屋は愛知県豊田市保見団地を校区とする豊田市立西保見小学校(全校児童数206名の内半数がブラジル人児童)を、齋藤は神奈川県いちょう団地を校区とする横浜市立いちょう小学校(全児童数203名の内半数が外国にルーツをもつ子ども-主にインドシナ難民・中国帰国者家庭の子弟)をフィールドとした。研究の成果として、次の3つがあげられる。1.外国人児童生徒への支援ネットワークの網の目に大学を位置づけて、実践の場に長期的に直接的にかかわったことにより、学校現場における実態を内側から把握することができた。2.学校現場の教育主体である教師、大学研究者、教育サポーターである学生が小学校という一つの現場で対話し、共に協働したことによって、それぞれがエンカレッジされ、教育のとらえなおしがはかられた。また、研究者は、学校の教育運営・決定のプロセスにおいて、日本語教育で蓄積されてきた知見や理論を提供し、議論参加できた。西保見小学校においては家庭内の言語環境の調査の実施、いちょう小学校においては校内研究会におけるテーマの設定が、その例としてあげられる。3.金子(1986,1992)のネットワーク論を基に、そこに差異や異質性をもつ参加者の「学習」としての実践という視点をくわえて、土屋と西保見小学校の連携を中心に、更に、地域もいれて、ネットワーク化をえがいた。外部者をうけいれることは、学校にとっては制度の整備、学校文化の質的な変容がもとめられるものであることがうかびあがった。以上、本研究における協働に基づくネットワークは、学校現場の子どもたち(外国人児童)へのよりよい教育実践をよびこむ一つのモデルになりうるとかんがえられる。
著者
梅澤 秋久
出版者
帝京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は,ステイクホルダーと教員の双方向コミュニケーションが体育授業改善およびアカウンタビリティにどのような影響を与えるのかを検討した.その結果,次のような知見が得られた.授業改善に資する要因としては,同僚性に基づく学び合いや研究者からのアドバイス,専門書による高度な知識の獲得に加え,自身の実践を省察する力量形成が挙げられる.また,教員がステイクホルダーの要望に応じる姿勢を有し,専門性を生かしたインフォームドコンセントを行うことで,ステイクホルダーとの合意調達と協働関係を構築した民主的アカウンタビリティに繋げることが可能になる.
著者
竹内 武昭 矢野 栄二 中尾 睦宏
出版者
帝京大学
巻号頁・発行日
2008 (Released:2010-06-11)

職場でのうつ病スクリーニングの一般性を検討するため,2008年度某企業の健康診断において約600名の男性従業員に対して, DSM-IVの半構造化面接と気分質問調査票(Profile of Mood States:POMSの両方によるうつ病診断を行ったデータクリーニングを行い,不十分なデータを削除したのち592入の男性データを対象データとした。解析では, DSM-IV大うつ・小うつ病診断を基準とし, POMSうつ得点の感度・特異度を調べて受信者操作特性下面積(Area Under the Curve: AUC)を算出(オリジナル)。同様にPOMSうつ質問1項目のAUC(15通り)と大うつ・小うつ病のAUC比較も行った。大うつ病の有病率は,25人(4.2%),小うつ病は27入(4.6%)であった。POMSオリジナル版の大うつ病に対するAUCは0.71,小うつ病に対するAUCは0.63であった。POMSの1項目でみると,大うつ病に対しては"ゆううつだ"のAUCが0.73と最も高く, "あれこれ心配だ"(0.72), "気持ちが沈んで暗い"(0.72)が続いた。小うつ病に対しては"くたびれた"のAUCが0.70と最も高く, "疲れた"(0.69),"ゆううつだ" (0.67)が続いた。面接によるうつ病の診断が質問調査票でもある程度出来るという本研究の結果は,2006年度に我々の発表した論文(Takeuchi T, Nakao M, Yano E. Primary Care & Community Psychiatry 11:13-9, 2006)を他施設で検証し,その一般性の可能性を広げる結果となった。来年度以降の複数施設における自殺予防を目的としたコホート比較検討試験実施の基盤となる意味で重要である。
著者
中山 京子 中牧 弘允 森茂 岳雄 織田 雪江 居城 勝彦 ALISON Muller RONALD Laguana LAWRENCE Cunningham
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

従来の先住民をテーマとした教育活動について、ポストコロニアルな視点から問題点を示し、先住民学習の意義を検討した。そして、先住民に関する展示をもつ博物館や先住民研究機関との連携のもとに、偏りのない理解を深めるための教材の開発を行った。その際、主にグアムの先住民チャモロをテーマにした試行実践を行った。研究を通して先住民学習の意義を明らかにし、これからの先住民学習の可能性を検討した。
著者
本間 信
出版者
帝京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994 (Released:1994-04-01)

本研究においては、腸管ベーチェット病の大腸病変部位粘膜に浸潤するT細胞の性状について組織酵素抗体法を用いて定量的な解析を試みた。腸管ベーチェットでは、健常大腸粘膜および潰瘍性大腸炎・クローン病に比し、粘膜上皮細胞間のT細胞数は有意に上昇していた。これは主としてαβT細胞の増加によるものと考えられた。またこれら浸潤T細胞表面のCD11c分子の発現は亢進していた。さらに、粘膜上皮細胞間に浸潤するγδT細胞の割合は、腸管ベーチェットでは有意に低下していた。一方、粘膜固有層においては腸管ベーチェット・潰瘍性大腸炎・クローン病のいずれも健常大腸粘膜に比し、浸潤するT細胞数の有意な上昇を示し、これらはCD4陽性T細胞・CD8陽性T細胞・γδT細胞の全てのpopulationの増多によるものと考えられた。以上の結果より、粘膜固有層のT細胞浸潤は炎症に伴う非特異的な現象であると考えられた。これに対して、粘膜上皮間のT細胞浸潤は疾患特異的であると考えられた。すなわち、腸管ベーチェットにおいては、他の炎症性腸疾患とは異なり、主としてαβT細胞を中心としたリンパ球浸潤が見られたが、他の炎症性腸疾患においては粘膜上皮間のT細胞の浸潤増多は見られなかった。こうしたαβT細胞の粘膜上皮間への浸潤の機序を追求してゆくことが腸管ベーチェット病の発症機序の解明につながるだけでなく、他の炎症性腸疾患の病因解明の糸口となることが期待される。
著者
岡田 弘 上山 裕 武藤 智 堀江 重郎 守殿 貞夫 荒川 創一 藤澤 正人
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

1-(1)in vitroで培養した場合の、尿中細菌数定量測定装置を用いた。樹立細菌株の菌数の変化の定量測定には、12時間以上培養を行うことが理想である。1-(2)in vitroで培養した場合の、尿中細菌数定量測定装置を用いた、樹立細菌株の菌数の変化の定量測定は、最短4時間でも、細菌数の変化(10^4/mlから10^5/ml)は検出可能である。以上の結果から、尿中細菌数定量測定装置を用いた尿中細菌の薬剤感受性試験を行う場合の、培養時間は4時間とすることに決定した。この時間設定は、中央検査施設を保有する中等以上の規模の病院で、外来患者が午前中に尿検体を提出し、薬剤感受性試験を行い。この結果を元に治療薬を決定し治療開始するために、待つことのできる妥当な時間設定であると考えられた。2-(1)樹立細菌株の、尿中細菌数定量測定装置を用いた抗菌剤感受性試験結果と従来法(微量液体希釈法)による感受性結果を比較した結果、一致率は約90%と良好であった。2-(2)尿路感染症患者(急性単純性膀胱炎)から分離された細菌を検体として、抗菌剤感受性試験を、尿中細菌数定量測定装置を用いた結果と従来法(微量液体希釈法)を用いた結果を比較検討すると、両者の一致率は約85%であり、良好であった。以上の結果から、尿中細菌数定量測定装置を用いた迅速(4時間)な抗菌剤感受性試験は、臨床応用可能と考えられた。Evidence Based Chemotherapy実現へ向けて、今後は複数菌感染症や増殖時間の遅い菌種の取り扱いに関する検討が必要であると考えられた。
著者
水越 あゆみ
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

後期浪漫主義運動のリーダー与謝野鉄幹は、機関誌『明星』にて「われらは互に自我の詩を発揮せんとす」と高らかに宣言した。旧態依然とした旧派和歌を激しく攻撃した鉄幹は、伝統的な作歌上の煩雑な規則ではなく、「自我」を創作の根源にすえることを主張したのである。この新しい「自我」概念は、明治20年代から30年代にかけての浪漫主義を最も顕著に特徴づけるものである。明治20年代の前期浪漫主義を代表する北村透谷と島崎藤村は、多感な人格形成期に西洋文学、特に英国ロマン主義の洗礼を受け、その後自身の作品において「このおのれてふあやしきもの」(北村透谷『蓬莱曲』)の探究を続けた。明治30年代後期浪漫主義を代表する与謝野晶子は、ロマン主義の息吹を吹き込まれた新文学に触発されて藤村調新体詩の模倣から創作活動に入り、やがて千年以上もの伝統を持つ和歌の形式に「われ」の心情を読み込んだ「自我独創の詩」としての近代短歌を確立した。日本近代文学史におけて、明治浪漫主義は何より「自我」の発見・確立の試みというクリシェで語られる。しかし、「近代自我」のモデルとなった自律的主体としての西洋的自我が解体された現在、近代文学作品の評価基準として長らく自明のものとされてきた「近代自我」も再考を迫られている。さらに、「近代自我」の確立の歴史的プロセスとして構築されてきた「近代文学史」や、「近代文学」すなわち「国民文学」ももはや自明ではない。本研究は、英国ロマン主義と明治浪漫主義の比較文学研究的な視点から、「近代自我(the modern self)」「文学史(literary history)」「国民文学(national literature)」という諸概念を再考察するものである。