著者
合田 敏尚 高瀬 幸子 大石 邦枝 蒔田 和子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.235-241, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

静岡県内の都市及び都市近郊に住む幼児から高齢者 (3~69歳) の1,395人を対象に, 牛乳飲用の習慣と牛乳に対する嗜好の加齢変化を調査し, 以下の結果を得た。1) 各年齢階層別にみた牛乳飲用量の度数分布をみると, 各年齢階層での牛乳飲用量が1日当たり“1杯以上2杯未満”の者の分布が大であった。“2杯”以上の者は中高年齢層で減少し, 逆に“0杯”の者が増加した。2) 各年齢階層別にみた牛乳嗜好度 (5段階評価) の分布に特色がみられ, 牛乳の“好き”な者は若い年齢層に多く, 中高年齢層で減少した。牛乳の“嫌い”な者は中高年齢層で増加し, 50歳代では20歳代の約2倍に増加した。3) 牛乳不耐症の経験者と思われる者は, 20歳未満の年齢では少ない (5~6%) が, 20歳代から増加し始め, 30歳代以上では約1/4の者がその経験者と思われた。4) 総体的に, 加齢に伴う1日当たりの牛乳摂取量の減少と牛乳に対する嗜好度 (5段階評価) の低下が, 男女ともに観察された。成人層では年齢と牛乳摂取量との間に負の相関がみられ, 女性の場合にはその傾向が顕著であった (p<0.001)。それらの減少傾向の過程では女性の場合に特色がみられ, 20歳代後半と50歳代に牛乳摂取量及び嗜好度の上昇ピークが観察され, 前者は妊娠・授乳のための, 後者は閉経後の骨粗鬆症予防のためのそれらピークの出現と思われた。