著者
大竹 弘哲 長嶋 和明 田中 聡一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-52, 2007 (Released:2007-06-13)
参考文献数
6

症例は73 歳女性. 左上肢の筋力低下にて発症. 歩行障害が現れ, 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) と診断. 後に構音障害と嚥下障害が現れ, 進行した. 患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった. 左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり, 緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された. 日米の神経学会治療ガイドラインで, ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている. 筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で, 欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において, 強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.
著者
若林 航輝 石井 文弥 棚橋 由佳 櫻井 敬市 大竹 弘哲
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.O-025, 2020 (Released:2020-01-01)

【はじめに】脳梗塞により右片麻痺,構音障害を呈した症例に対し,建築業への復職を目標に,片脚立位を中心とした立位バランス能力に着目して,腹斜筋群の活動を向上させる座位リーチ練習を実施した.その結果,立位バランス能力の改善に至ったので報告する.【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づいて十分に説明し,同意を得た.【症例紹介】60代男性.MRIにて左内包後脚から放線冠にかけて微小梗塞が認められ,右片麻痺,構音障害を呈した.病前ADLは自立.HOPEは復職したい,不安定な足場でも歩けるようになりたい.第2,3病日ではBrunnstrom Stage(以下Brs)は上肢Ⅴ,手指Ⅴ,下肢Ⅴ.感覚は右上下肢触覚軽度鈍麻,深部感覚左右差なし.立位バランスとして,片脚立位は右側3.0秒保持可能,左側保持困難.Berg Balance Scale(以下BBS)42点.Timed Up and Go(以下TUG)右回り10.8秒,左回り10.9秒.歩行は独歩見守り,ワイドベースであり,右足底全面接地.立脚中期に体幹・骨盤帯が右側へ過剰に偏位.【方法】第2 〜6病日では、低緊張筋群に対し,四肢の運動やROM練習を行った.BBS・TUGは改善傾向であったが,片脚立位は介入前後で変化は認められなかった.第7病日より,腹斜筋群に着目して座位リーチ練習を実施した.練習前後で片脚立位保持時間の延長を認めたため,プログラムに追加した.その他に,座位リーチ練習の際に股関節屈曲を追加することで課題難易度を調整し,練習を継続した.【結果】第13,14病日では片脚立位保持時間(R /L,秒)は19.0 /7.0まで改善し,BBS 54点,TUG 右回り7.1秒,左回り7.5秒となった.歩行は右踵接地みられ,右立脚中期での体幹右側偏位は軽減した.【考察】片脚立位は転倒に関連する指標として知られて いる.四肢の運動やROM練習では改善が認められなかったが,腹斜筋群に着目して座位リーチ練習を行うことで片脚立位保持時間の即時的・経時的変化を得られたためその有効性が示唆された.
著者
大竹 弘哲 長嶋 和明 田中 聡一
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-52, 2007-02-01

症例は73歳女性.左上肢の筋力低下にて発症.歩行障害が現れ,筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断後に構音障害と嚥下障害が現れ,進行した.患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった.左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり,緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された.日米の神経学会治療ガイドラインで,ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている.筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で,欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において,強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.