著者
大藪 俊志
出版者
佛教大学社会学部
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
no.69, pp.17-32, 2019-09-01

本稿の目的は,国家機能の拡大に伴う行政活動の変化の様相を概観したうえで,行政活動を見直す取組み(行政改革)の特徴を考察することにある。現代国家の性格が「福祉国家」「行政国家」と呼ばれるものに変化するなかで,行政の活動領域は急速に拡大していった。その後,肥大化した行政活動は様々な課題を抱えるようになり,1980年代以降,先進国では行政のあり方を見直し,効率化と公共サービスの質の向上を目指す様々な改革手法(NPM など)を導入するようになった。これまでに先進国が実行してきた行政改革は,各国における統治構造の見直しと関連するパブリック・ガバナンスの改革と捉えられるものであり,(1)行政が効率性,柔軟性や透明性を意識するようになり,顧客(市民)志向を強めたこと,(2)行政改革の取組みでは,行政を一国のガバナンス構造の枠組みの中に位置づけ,全政府的(whole-of-government)なアプローチを必要とすること,(3)行政改革は社会経済の変化に対応し続けなければならないため継続的な取組みとなること,などの教訓が得られている。福祉国家行政国家行政改革パブリック・ガバナンス
著者
大藪 俊志
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.131-145, 2015-03-01

近年,地域社会における課題の発見や解決にその地域に住む市民が主体となって取り組み,行政と協働しながら住みやすいまちづくりを目指す地域内分権の試みが,各地の地方自治体で実施されている。その背景や理由は自治体により様々であるが,住民自治の拡充と併せ,人口減少や財政の逼迫などの社会経済情勢の変化,公共サービスに対する需要の多様化・複雑化,地方自治制度の見直し(地方分権,市町村合併)など,地方自治体を取り巻く様々な環境変化に対応する必要性が指摘される。本稿では,「持続可能な基礎自治体」の確立を目指し,行政の改革と並行して地域内分権を推進してきた愛知県高浜市の取組み事例を検討することにより,今後の地方自治体の運営の課題と方向性を探る。そのうえで,持続可能な地域社会を確立するためには,行政基盤と住民自治の両面を強化する必要があることを指摘する。
著者
大藪 俊志
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.121-140, 2014-03-25

1980 年代以降,地方自治体の行政改革は,合理化と効率化の徹底,行革推進体制の確立に重点を置き,事務事業の見直し(民間委託の推進),組織・機構の見直し,定員及び給与の適正化(人員の削減と給与の引下げ)などに取り組んできた。また,90年代後半からは,政策(行政)評価,指定管理者制度,PFI(Private Finance Initiative),独立行政法人制度,市場化テストなど,NPM(New Public Management)とされる改革手法の導入も進展する。本稿では,先進国における行政改革の取組みを概観したうえで,近年の地方自治体の行政改革の経緯とその特徴を検討し,今後の自治体行政改革の方向性を展望する。