著者
安田 孝子 島田 三惠子 大見 サキエ 巽 あさみ 矢野 忠 笹岡 知子
出版者
浜松医科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

つわり妊婦に対するツボ刺激のつわり症状の改善への有効性を明らかにすることを目的として,県内の病院の妊婦外来で同意の得られた妊娠16週までの妊婦48名(68名配布,回答率77.4%)を対象として,つわり症状尺度,東洋医学健康状態,属性等で構成される質問紙調査を実施した。このうち,同意の得られた妊婦12人を対象として,ツボの指圧を1回10分間連続3日間,実施した。その結果,48名の対象者の属性の年齢は30.5±4.4歳,身長158.2±5.3cm,体重51.4±7.8kgであった。1.つわり症状尺度:北河のEmesis Indexを一部改変し,悪心,嘔吐,食欲不振,唾液分泌,口渇の症状の各項目の0点〜3点を点数化し,合計点が15〜11点は重症,10〜6点は中等度,5〜4点は軽症と分類した。各項目は,悪心2.1±0.9点,嘔吐1.2±1.2点,食欲不振1.6±1.1点,唾液分泌1.2±0.9,口渇1.0±0.9であり,悪心が最も多く,1日に5〜10回感じている状態である。合計点は7.1±3.5点であり,治療を要するほどではないが,中程度の不快な症状を抱えながら日常生活を送っていると考えられた。2.東洋医学的身体の状態:明治鍼灸大学式東洋医学健康調査票による妊婦の身体状態は4つのタイプに分類された。(1)胃虚型(胃腸症状が強い),(2)肝熱型(イライラや胸脇が苦しいなどが強い),(3)痰湿型((1)に不眠多夢などが加わった),(4)は(1)〜(3)以外の型であった。48人中(1)は19人(39.6%),(2)は18人(37.5%),(3)は5人(10.4%),(4)は6人(12.5%)であった。従って,つわりのある妊婦に共通して用いるツボは内関,中?であり,タイプによって,足三里,胃兪,太衝,百会,膈兪,豊隆,太白などを組み合わせることが適切であると考えられた。3.ツボ刺激の効果:ツボ刺激は,腹式呼吸と印堂,内関,全息律つぼ群の3ヶ所のツボの指圧を1回10分間,連続3日間実施した。12人の妊婦のうち,11人の有効データを分析した。つわり症状尺度のスコアは,ツボ刺激の実施前5.0±4.6点,実施3日後3.3±2.8点となり,有意(paird t-test,p<0.01)に低下した。従って,ツボ刺激がつわりのある妊婦の症状改善に効果があることが示唆された。
著者
大見 サキエ 宮城島 恭子 坪見 利香 河合 洋子 金城 やす子 岡田 周一
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研究1.小児がんに関する啓蒙のための研修会実施。(1)例年実施しているA地区小中学校教員(13名の希望者)11名の参加者あり、医師、看護師等の講演の後、教員が実際直面している問題等についてディスカッションした。具体的には、クラスメートへの情報提供の方法、特別支援学校の子どもたちのことをどう説明したらよいか、復学時の校内での教員全体の勉強会の必要性、指導要録の枚数と診断書の枚数、提出について、保護者の協九が得られない場合の対処について等である。そこで作成した子ども理解のための小冊子を回覧したところ、学校の教員向けでも活用できるとの意見があり、配布することとにした。(2)C市の小中学校教員43名を対象に同様の研修会を実施。教員は病院の医師や看護師の話を熱心に聞いていた。研修会の結果はアンケートを配布し、郵送にて返送してもらうことになっており、結果の整理はこれからである。研究2.調整合同会議を実施し、退院した子どもの保護者の面接調査を実施し、退院時合同会議を実施した全員の子どもの保護者12名の面接調査を実施した。データは逐語記録におこし、現在、分析中である。学校に慣れていく(適応していく)それまでの保護者の気持ちを重点的にデータを収集した。全員、復学後登校していたが、まだ、治療中の子どももあり、多様であった。研究3.H20年度からのこれまでの活動を振り返り、教育支援プログラムや連携構築に必要な事項について研究者間打ち合わせ会議を実施し、今後の活動の方向性について、主には研修会の継続、周囲への働きかけ(特に教育委員会)、連携のための文書、子どもが入院した時から、どのような働きかけが必要かを見極めるマトリックスの作成等検討した。
著者
巽 あさみ 白石 知子 野原 理子 安田 孝子 大見 サキエ
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

女性労働者の健康支援を行うために、月経痛や人間関係など女性特有の生物学的心理社会的な特徴を理解する必要があると考え、女性労働者に特有な疾患・症状、労働環境、生活環境、ストレス、働き方に関する希望等、種々の関連要因について検討した。その結果、月経周期および月経痛の関連要因は、喫煙の有無、主観的健康感、早朝深夜勤務、職場でのストレス、勤務時間への不満、長時間の月経不順などの症状であることがわかった。また、月経不順や月経痛と関連する業務内容・職場環境に共通している因子は「乾燥しすぎる職場」であり、月経不順は「音がうるさい」、「粉じん」など主に職場環境に、一方、月経痛は「身体に動揺・振動の衝撃の伴う業務」、「対面による応対業務」など作業方法・作業管理的側面に影響を受けていた。SOCとの関連では、年齢、睡眠時、主観的健康感、ストレス反応、職場・家族のサポートと有意な関連が認められた。また、働き方に関する希望では、正社員(正規雇用)で、子どもが小さい時は短時間を希望するものが多かった。特に25歳~39歳までは短時間労働にすることが望ましいことが示唆れた。今回の研究ではシステム開発までには至らなかったが、月経痛等に関しては夜勤や残業が少なく乾燥しすぎない、音、粉じんがなく作業環境も快適であることが健康で働き続られる職場ではないかと考えられる。女性労働者はキャリアが分断されずに発達段階にあわせた働き方を望んでいることが示唆された。