著者
錦戸 典子 山﨑 恭子 三橋 祐子 白石 知子 掛本 知里
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代社会が求める保健師に必要な専門能力と育成方策を明らかにすることを目的に、これまで研究が遅れている産業保健分野の保健師(産業保健師)を中心に検討した。一企業において産業保健師に求められる専門能力を明らかにするとともに、その向上を目指した育成プログラムを開発・試行し、実際に効果があることを検証した。また、より汎用的に産業保健師に必要な専門能力を明確化・構造化することを目指して、熟練産業保健師への個別インタビューならびにフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施し、支援過程に沿った各場面において産業保健師として必要な専門能力の詳細を明らかにした。
著者
城 憲秀 藤丸 郁代 山口 知香枝 白石 知子 宮武 真生子 堀 文子
出版者
中部大学生命健康科学研究所
雑誌
生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.73-80, 2018-03

高齢者の公共トイレに対するニーズを把握し、今後の公共トイレのあり方を検討することを目的として、愛知県K市内の高齢者768名を対象とする横断調査を実施した(回収率 約74%)。高齢者全体として、散歩などの外出時にはトイレに行かない者が全体の35%程度存在し、公共トイレの普及はなお必要であることが示唆された。また、清潔さや広さなどがトイレの質的なニーズとしてあげられており、公共トイレは質、量の両者の整備が重要である。また、高齢になるほどトイレの場所がみつけにくいことが明らかとなり、トイレの場所表示もわかりやすくしていくべきである。有疾患者、女性、後期高齢者では手すりの要求が高く、身体面でハンディキャップがある場合、身体動作をスムーズにするガイドも必須である。公共トイレの充実は、高齢者の外出を促進するために重要な要件であると考えられ、今回調査したようなニーズを考慮し、質、量を充足していくことがバリアフリー社会の構築のためには必要である。
著者
酒井 正明 齋藤 洋典 白石 知子 井藤 寛志
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.433-447, 2009 (Released:2010-09-10)
参考文献数
14

Designers are expected to create beautiful and functional products. Based on a concept of user-friendliness, users expect to understand functions mounted on a product without special knowledge and experience with the manipulation of the designers' real product, while usability of products is measured in terms of users' observation and manipulation. The purpose of this study was to focus on users' observation and to examine whether users can correctly understand functions of a designed product (digital sphygmomanometers), regardless of their medical knowledge, without manipulation. We conducted two experiments to test whether users, regardless of their expert knowledge, elicit high marks in the function-estimation task as well as in the beauty-evaluation task. Two groups of students with or without nursing education were asked to estimate functions and evaluate beauty of two types of digital sphygmomanometer (an old design model and its new model redesigned) based solely on the observation of the products' pictures without manipulating the real products. The results indicated that the two groups of participants showed higher correct responses to the old type than the new type in the function-estimation task, while they showed higher evaluations of the new type than the old type in the beauty-evaluation task. In particular, the results of nursing students in the function-estimation task indicated that medical knowledge in the nursing group did not contribute to the correct estimation of the operation procedure for the new model. These results suggest that designer's efforts for the new model were successful in production of beauty but were not successful in production of perceptive functionality under the present observation condition without manipulation of the real products. We discussed these results based on a framework of co-existence of beauty and functionality in the designers' work.
著者
巽 あさみ 白石 知子 野原 理子 安田 孝子 大見 サキエ
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

女性労働者の健康支援を行うために、月経痛や人間関係など女性特有の生物学的心理社会的な特徴を理解する必要があると考え、女性労働者に特有な疾患・症状、労働環境、生活環境、ストレス、働き方に関する希望等、種々の関連要因について検討した。その結果、月経周期および月経痛の関連要因は、喫煙の有無、主観的健康感、早朝深夜勤務、職場でのストレス、勤務時間への不満、長時間の月経不順などの症状であることがわかった。また、月経不順や月経痛と関連する業務内容・職場環境に共通している因子は「乾燥しすぎる職場」であり、月経不順は「音がうるさい」、「粉じん」など主に職場環境に、一方、月経痛は「身体に動揺・振動の衝撃の伴う業務」、「対面による応対業務」など作業方法・作業管理的側面に影響を受けていた。SOCとの関連では、年齢、睡眠時、主観的健康感、ストレス反応、職場・家族のサポートと有意な関連が認められた。また、働き方に関する希望では、正社員(正規雇用)で、子どもが小さい時は短時間を希望するものが多かった。特に25歳~39歳までは短時間労働にすることが望ましいことが示唆れた。今回の研究ではシステム開発までには至らなかったが、月経痛等に関しては夜勤や残業が少なく乾燥しすぎない、音、粉じんがなく作業環境も快適であることが健康で働き続られる職場ではないかと考えられる。女性労働者はキャリアが分断されずに発達段階にあわせた働き方を望んでいることが示唆された。