著者
田中 敦子 松田 聡 大谷 加津代 戸田 賢二 澤田 美智子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-120, 2010-12-28

文部科学省科学技術振興調整費(女性研究者支援モデル育成)事業の一部として, 独立行政法人産業技術総合研究所では「女性研究者グローバルエンカレッジング」課題を2007年7月より3年度の計画で実施中である。意欲触発と実践の両面からの女性研究者支援を意図した本課題の, 初年度終了後の浸透度の確認と, より効果的な支援のための支援対象の分析とニーズの把握を目的として, 4300名の男女研究職員を対象に2008年5月に筆者らはアンケート調査を実施し, 有効回収率14%に相当する回答を得た。アンケート結果の分析から, 支援事業の浸透度および支援対象の研究職員に関する次の傾向が明らかになった。1)任期のない職員と, 任期のある職員とでは, 研究業務上の不満の重心が2極化している。2)40歳以下の女性研究職員の研究マネジメント(管理職)志向が, その上の世代や男性に比較して高い。3)常勤研究職員の有配偶者率は, 31〜40歳の層では男性は70%台, 女性は50%台と差がある。アンケート結果の分析から, 次の具体的な支援ニーズが明らかになった。1)研修に対する支援2)キャリアパス形成に対する支援3)男女研究職員のワークライフバランスに関連する支援4)女性の少ない職場であることに関連する女性研究者支援