著者
大谷 知浩 宮田 一弘 篠原 智行 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.587-593, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
33

〔目的〕入院患者のFalls Efficacy Scale-International(FES-I)の臨床的有用性を検証した.〔対象と方法〕整形外科疾患患者84名を対象に,10 m歩行を獲得した時点において退院時の状態を予測したFES-Iの信頼性や妥当性,および転倒恐怖感の予測精度を検討した.〔結果〕FES-I合計得点の級内相関係数(ICC)(1,1)は0.83と高値であり,生活空間や健康関連QOLと有意な弱い負の相関関係を認めた.また,退院時の転倒恐怖感に影響する因子として10 m歩行獲得時のFES-Iのみが有意な関連要因であり,退院時の転倒恐怖感を判別するFES-Iのcut off値は41点であった.〔結語〕歩行獲得早期に退院時の状態を予測したFES-Iであっても,一定の有用性が示唆された.
著者
篠原 智行 土田 奈生子 山根 達也 新藤 香那子 大谷 知浩 石井 大祐
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.645-651, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕ADL(Activities of daily living)維持向上等体制加算病棟の実情とADL低下の原因を明らかにする.〔対象と方法〕退院患者2460名を対象に,年齢,診療科,在院日数,入退院時のBarthel Index(BI)を調査し,ADL低下の原因を診療録より後方視的に分析した.〔結果〕各平均値は年齢68.4歳,在院日数10.2日,入院時BI67.0点,退院時84.8点,ADL低下率は2.0%であった.ADL低下群では有意に年齢が高く,入院期間が長かったが,ADL低下の有無と診療科には関連はなかった.ADL低下の原因は疼痛や術後の低体力,新規脳血管疾患,悪性腫瘍,呼吸機能の悪化が多かった.〔結語〕ADL低下の予防には年齢や疼痛,術後の低体力に留意する必要がある.