著者
大越 隆文 野一色 泰晴 冨澤 康子 森島 正恵 小柳 仁
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.1194-1197, 1990

我々は新しい抗血栓性心臓壁補填材料(CUFP)を開発し, 長期動物実験により, その安全性を検討した。成犬に, 右室流出路再建術の要領で, CUFP(超極細ポリエステル繊維をコラーゲンで被覆し, 親水性エポキシ化合物で架橋した材料)を縫着した。CUFPの内腔面は植え込み後, 血栓付着は少なかった。また, 28日目で, 新生内膜が形成され, 中心部のわずかな部分を残して, 内皮細胞被覆がみられた。168日目で, 新生内膜内に平滑筋細胞を認めた。486日目では, 内皮細胞被覆を伴った薄くて, 均一な新生内膜が保持されていた。CUFPの材料壁内部では, 28日で, 線維芽細胞侵入, 血管新生がおこり, 168日, 486日で基質化された材料壁が認められた。CUFPは植え込み後, ポリエステル繊維によって補強された, 一種の自己器官として再構築され, 新陳代謝が行なわれる。そのため, CUFP植え込み後長期間, 変性及び劣化がおこらず, また, その表面に形成された新生内膜を保持すると考えられる。