著者
大迫 正弘
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series E, Physical sciences & engineering (ISSN:03878511)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-11, 2005-12

Late in the 19th century two earthquakes struck northeastern Honshu at an interval of two years. The Imperial Earthquake Investigation Committee reported on the 1894 Shonai Earthquake, including many handwritten copies from photographs in the form of blueprints or dry plates, which are now kept in the collection of the National Science Museum. In contrast, fewer photographs of the 1896 Riku-u Earthquake are left in the collections. This was the case for the investigations of the earthquake at that time, although the event showed interesting phenomena in seismology, such as apparent faults. Afterwards, Dr Akitsune Imamura made a report of the Riku-u earthquake, introducing photographs in an album donated from an individual. This rare material is also preserved in the NSM.
著者
室谷 智子 有賀 暢迪 若林 文高 大迫 正弘
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-05-19

明治22年(1889年)7月28日午後11時40分頃,熊本地方で地震が発生し,熊本市内で死者約20名,家屋全壊230棟以上,さらに熊本城の石垣が崩れるなどの被害が発生した.この地震の震源は,熊本市の西部に位置する金峰山で,マグニチュードは6.3と推定され(宇津,1982,BERI),地震発生から21日間で292回,5ヶ月間で566回の余震が観測された(今村,1920,震災予防調査会報告).震源が平成28年(2016年)熊本地震とは少し離れているようであるが,この明治熊本地震への関心は高い.国立科学博物館は,この明治熊本地震に関する資料を所蔵しており,本発表では,それらについて紹介する.熊本市に今も残る冨重写真館の写真師・冨重利平は,明治熊本地震の際,被害の様子を撮影しており,熊本城の石垣の崩壊や,熊本城内にあった陸軍第六師団の被害,墓石の転倒状況,城下町での仮小屋の風景など,11枚の写真を所載した写真帖が国立科学博物館に残されている.写真撮影のポイントは不明であるために完全に同じ場所か分からないが,明治熊本地震で石垣が崩壊した飯田丸や西出丸,平左衛門丸は,平成28年熊本地震でも崩壊している.冨重は軍や県の依頼によって写真を撮影する御用写真師でもあり,軍や県,地震学会の依頼で撮影したものかどうかの経緯は不明であるが,熊本へ震災状況の視察にやってきた侍従に県知事からこれらの写真が寄贈されていることから(水島,1899,熊本明治震災日記),県の依頼で撮影したものかもしれない.これらの写真は,日本の地震被害を写した最初の写真と思われ,国立科学博物館ホームページ「国立科学博物館地震資料室」(http://www.kahaku.go.jp/research/db/science_engineering/namazu/index.html)にて公開している.この地震の際には,帝国大学理科大学(現東京大学理学部)の小藤文次郎や関谷清景,長岡半太郎(当時は大学院生)といった研究者が現地調査を行っている.大きな被害を引き起こした地震の近代的調査としては,この熊本地震がほぼ初めての例となった.地震から11日後の8月8日に現地入りした長岡は,熊本市の西にある金峰山周辺の町村で建物被害や地割れを調べ,ノートや手帳に調査状況や建物被害,地割れ等の被害地点のスケッチを残しており,それらが国立科学博物館に科学者資料として保存されている.古い地震の被害状況を窺い知ることができる資料としては絵図が有効であるが,国立科学博物館では明治熊本地震の絵図も所蔵している.明治22年7月30日印刷,8月出版と記された「熊本県下大地震の実況」絵図は,家屋が倒壊し,下敷きになっている人々が描かれている.また,被害の状況を記す文章も書かれており,「実に近年稀なる大地震なり」と記されている.歴史上,熊本地方は何度も大地震に見舞われているが,平成28年熊本地震が起きた際,過去に熊本で大きな地震が起きたとは知らなかったという人が多かったことからも,被害を伴う地震が稀であるために,大地震について後世に継承されていなかったと思われる.
著者
大迫 正弘 石井 明男
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.159, 2012 (Released:2013-07-08)

jJICA「ダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクト」における、伝統的に行政区画単位のコミュニティを有してこなかったダッカ市に行政区画単位のコミュニティを導入する試みは、いかに達成されるのか、またその過程において、伝統的な知(被援助側の固有の知(indigenous knowledge))はどのように活かされるのか、といった点を明らかにする前段階として、バングラデシュおよびダッカ市における住民参加型廃棄物管理の歴史に関する文献レビューを行ない、その歴史的背景の中にJICAダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクを位置づける。