- 著者
-
大野 幸子
- 出版者
- 日本マーケティング・サイエンス学会
- 雑誌
- マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.1, pp.47-79, 2014 (Released:2014-05-08)
- 参考文献数
- 71
本研究では,認知ではなく感情心理の罪感情と恥感情に注目し,行動普及が十分とは言えない高リスク高関与なヘルスケア・サービスの採用を促進するマーケティング戦略の示唆を検討している。罪感情と恥感情は類似した状況で生起するものの,罪感情は行動喚起をもたらし,恥感情は行動回避をもたらすという。行動喚起や行動回避といったマーケティングにとって重要な側面が明らかにされていながらも,既存の罪恥感情尺度ではマーケティングで活用できる尺度がほとんどない。そこで,本研究では尺度開発を試みる。クロンバックαによる信頼性の確認を経て,MTMM( 多特性多方法論)による収束弁別妥当性を確認し尺度構築を行う。その後で,尺度の妥当性を単一特性多方法モデルとの統計的比較から検討する。結果的に,多特性多方法な構造を仮定した新たな感情尺度の方が,より妥当なモデルであることが示唆された。