著者
大野 慎一郎 高梨 正勝 黒田 雅彦
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.134-139, 2014-03-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
12

各種細胞が分泌する膜小胞体の一種であるエクソソームは、RNA分解酵素に富む血液中でも安定してmRNAおよびmicroRNA(miRNA)を運搬することが明らかとなっている。一方で、核酸を用いた分子標的治療が未だ実用化に至らないのは、核酸医薬品が血液中において不安定であるため、病変部へ送達できないこと、人工的に構築されたキャリアーの抗原性が大きな問題と考えられる。このような背景のなか、生体成分で構築され、かつ体液中で安定に核酸を運搬する新規ドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアーとして、エクソソームが注目されている。
著者
上田 しのぶ 黒田 雅彦 高梨 正勝 大野 慎一郎 土田 明彦
出版者
東京医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中ではエキソソームによって運ばれている。また、がん幹細胞は現在の治療法では残存し再発や転移を起こす可能性がある。我々はがん幹細胞に結合する分子をエキソソーム膜上に発現させ、がん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAをエキソソーム中に取り込ませて血中に投与することで、がん幹細胞を標的とした治療法を確立できると考えた。乳がん細胞のEGFRに結合するペプチド(GE11)を発現させたエキソソームにlet-7aを内包させ (let-7a/GE11エキソソーム)、担がんマウスに尾静脈接種すると効率よくがん細胞へ到達し増殖抑制効果を示した。