著者
佐藤 朋覚 熊谷 昌則 天野 敏男 小川 信明
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.653-660, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 6 2

携帯可搬型の近赤外分光分析装置を用いて,清酒(日本酒)のスペクトルを測定し,ケモメトリックスを用いて判別分析を行い,その分類に対して化学的な解釈を加えた.近赤外スペクトルでの主成分分析で得られた波長寄与率スペクトルから,第1主成分(PC1)はアルコールの -CH3,-CH2-,R-OHの寄与が高く,第2主成分(PC2)はタンパク質の -NH2,-CONH2,-CONH-,-CH3,-CH2- の寄与が高く,第3主成分(PC3)はデンプンの -CH3,-CH2-,-OHの寄与が高いことが推定できた.近赤外スペクトルでの違いが,PC1では純米酒とそれ以外に,PC2では大吟醸酒とそれ以外に,PC3では純米大吟醸酒・本醸造酒,普通酒・大吟醸酒,純米酒にそれぞれ分類できることが分かった.携帯可搬で現場測定が可能なPlaScan-SHは清酒の判別に有用である.
著者
松本 高利 田辺 和俊 佐伯 和光 天野 敏男 上板 博亨
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.483-489, 1999-05-05
被引用文献数
8 12

プラスチック廃棄物のリサイクルには不可欠なプラスチックの非破壊判別手法を開発するために, 近赤外分光測定とニューラルネットワーク解析を組み合わせた手法を検討した. 最近のリサイクル法の施行で必要になっている多種類のプラスチックを迅速に判別するために, 収集した51種類のプラスチックの約300点の試料について波長1.3〜2.3μm領域の近赤外反射スペクトルを測定し, 二次微分処理したデータを3層構造パーセプトロンモデルのニューラルネットワークに入力してバックプロパゲーション法で学習を行った. 10種類のプラスチックについて2〜4個のデータを入力して判別テストを行った. その結果, 極めて少数の学習データを用いたにもかかわらず平均的中率として80%近い結果が得られ, 多種類のプラスチックを迅速に判別する手法を開発することができた. 本研究の手法を用いればプラスチック廃棄物のリサイクルに実用可能なプラスチック判別装置を開発できる可能性があることが分かった.