著者
福田 朋子 松本 高利 田辺 和俊 長嶋 雲兵 青山 智夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8, 2002 (Released:2003-04-08)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

新規フロン代替物質探査のために、フロン類に特有なC-Fの強い吸収が観測される1500-500cm-1付近の含フッ素化合物44分子の赤外吸収強度とそれらの分子の8種類(C=C, C-C, C=O, C-O, C-H, C-F, C-Cl, O-H)分子内結合数との相関を3層のパーセプトロンタイプニューラルネットワークに学習させ、8種類の分子内結合数の赤外吸収強度への影響を3層パーセプトロン型ニューラルネットワークの入力パラメータの感度解析(パラメータスキャン)[2]と偏微分係数解析[3, 4]を用いて解析した。ニューラルネットワークは、Leave-one-outテストで誤差が10%以下の予測を行うよう学習を行った。感度解析の結果、C=C, C-C, C=O, C-O, C-H, C-F, C-Cl, O-Hの8種類の分子内結合のうち C=O, O-Hが多いと赤外吸収強度が大きくなることが判った。C-Fもその結合数が多い場合は赤外吸収強度が大きくなるが、相対的に少ない場合はむしろ吸収強度を小さくする。C-Oは全く吸収強度に影響を与えない。偏微分係数解析では、C-C, C=O, C-Cl, O-Hの数が大きな吸収強度に寄与することが判った。C-OとC-Fの影響は小さいことが示唆された。両者の結果は不飽和炭素アルコール系より飽和炭素エーテル系のフロンの方が赤外吸収強度の小さな代替フロンができる可能性の大きいことを示唆している。
著者
松本 高利 田辺 和俊 佐伯 和光 天野 敏男 上板 博亨
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.483-489, 1999-05-05
被引用文献数
8 12

プラスチック廃棄物のリサイクルには不可欠なプラスチックの非破壊判別手法を開発するために, 近赤外分光測定とニューラルネットワーク解析を組み合わせた手法を検討した. 最近のリサイクル法の施行で必要になっている多種類のプラスチックを迅速に判別するために, 収集した51種類のプラスチックの約300点の試料について波長1.3〜2.3μm領域の近赤外反射スペクトルを測定し, 二次微分処理したデータを3層構造パーセプトロンモデルのニューラルネットワークに入力してバックプロパゲーション法で学習を行った. 10種類のプラスチックについて2〜4個のデータを入力して判別テストを行った. その結果, 極めて少数の学習データを用いたにもかかわらず平均的中率として80%近い結果が得られ, 多種類のプラスチックを迅速に判別する手法を開発することができた. 本研究の手法を用いればプラスチック廃棄物のリサイクルに実用可能なプラスチック判別装置を開発できる可能性があることが分かった.