著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.247-267, 2019-10-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
93

近年のわが国の重大社会問題の一つである自殺には地域差が存在するため,都道府県別の自殺死亡率に有意な影響を与える要因の解明を目的とする実証研究を試みた.47都道府県の男女別年齢調整自殺死亡率を目的変数,それとの関連が推測される健康,経済,社会,自然分野の指標54種を説明変数としてサポートベクター回帰分析を行い,自殺死亡率に対する決定要因を探索し,その相対的影響度を推定した.その結果,男女別にそれぞれ12種の要因が得られ,男性では精神保健福祉士数,家計収入,患者数などの要因,女性では悩み相談,出生率,残業時間などの要因の影響が大きいことを見出した。また,これまで未検証の精神保健福祉士数や残業時間,精神状態が有意の影響を与えるが,自殺率との関係が深いとされてきた失業率や離婚率は決定要因にはならなかった.さらに,自殺率が最も高い秋田県について決定要因の結果に基づき自殺対策の提言を試みた.
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.223-242, 2015-09-28 (Released:2015-11-20)
参考文献数
160

近年,国家間あるいは各国内の所得格差が幅広い関心を集めている.格差の原因に関する理論的研究はこれまでに数多く行われているが,現実の所得分布を再現する理論モデルは未だ得られていない.所得格差の原因を解明する目的で,所得分配に影響すると考えられる要因を説明変数として回帰分析(OLS)を行い,決定要因を探索した実証的研究が多数報告されている.しかし,これまでは少数の説明変数と線形のOLSのために高い精度のモデルが得られていなかった.本研究では,非線形回帰分析手法の一つであるサポートベクターマシン(SVM)を用いて161カ国のジニ係数(目的変数)と経済,政治,教育,健康,技術分野の57種の説明変数との相関を解析し,感度分析法を用いて57種の変数の中から所得格差の決定要因を探索する実証研究を試みた.その結果,25種の要因によって161カ国のジニ係数を決定係数(R2)0.795という高い精度で再現するモデルを構築した.また,25種の決定要因の中では政治的要因の寄与が最大であり,次いでGDP等の経済的要因と医療費等の健康要因がほぼ同程度の寄与であることが判明した.
著者
福田 朋子 松本 高利 田辺 和俊 長嶋 雲兵 青山 智夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8, 2002 (Released:2003-04-08)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

新規フロン代替物質探査のために、フロン類に特有なC-Fの強い吸収が観測される1500-500cm-1付近の含フッ素化合物44分子の赤外吸収強度とそれらの分子の8種類(C=C, C-C, C=O, C-O, C-H, C-F, C-Cl, O-H)分子内結合数との相関を3層のパーセプトロンタイプニューラルネットワークに学習させ、8種類の分子内結合数の赤外吸収強度への影響を3層パーセプトロン型ニューラルネットワークの入力パラメータの感度解析(パラメータスキャン)[2]と偏微分係数解析[3, 4]を用いて解析した。ニューラルネットワークは、Leave-one-outテストで誤差が10%以下の予測を行うよう学習を行った。感度解析の結果、C=C, C-C, C=O, C-O, C-H, C-F, C-Cl, O-Hの8種類の分子内結合のうち C=O, O-Hが多いと赤外吸収強度が大きくなることが判った。C-Fもその結合数が多い場合は赤外吸収強度が大きくなるが、相対的に少ない場合はむしろ吸収強度を小さくする。C-Oは全く吸収強度に影響を与えない。偏微分係数解析では、C-C, C=O, C-Cl, O-Hの数が大きな吸収強度に寄与することが判った。C-OとC-Fの影響は小さいことが示唆された。両者の結果は不飽和炭素アルコール系より飽和炭素エーテル系のフロンの方が赤外吸収強度の小さな代替フロンができる可能性の大きいことを示唆している。
著者
鈴木 孝弘 田辺 和俊 中川 晋一
出版者
東洋大学自然科学研究室
雑誌
東洋大学紀要 自然科学篇 = JOURNAL OF TOYO UNIVERSITY NATURAL SCIENCE (ISSN:13468987)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.69-82, 2018-03

Elderly dementia would be considered as one of serious social issues in near future inJapan. A nonlinear regression method by support vector machine (SVM) was appliedto search factors related to patient rates of 47 prefectures among 34 kinds of lifestylehabit factors. Fourteen kinds of related factors were obtained; depression, alcohol,hyperlipidemia, hobby, fruits, stress disease, high blood pressure, soy product, cereal,fresh fish, cooking oil, exercise, fresh vegetable, and diabetes. Depression is the mostimportant factors to patient rates, and the relative significance of the related factors tothe patient rates of elderly dementia is discussed on the basis of their sensitivities. Theinformation obtained could be used for serving as a reference to factors which shouldbe verified in cohort or case-control studies for clarifying the causes of elderly dementiain Japan.
著者
鈴木 孝弘 田辺 和俊
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日エネ誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.1125-1132, 2016

<p>人間活動にともなう地球の持続可能性を評価する指標の1つに,エコロジカル・フットプリント(EF)がある。本研究では,47都道府県のエネルギーと資源の消費データ基づき,グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)が算出した2010年の日本のEF値を各都道府県に割り当てることを試みた。都道府県のEFは,世界自然保護基金(WWF)の定義によるカーボン・フットプリント,耕作地,牧草地,漁場,森林地,生産能力阻害地の6つのカテゴリーに分けて計算した。その結果,鉄鋼や石油化学などの重化学工業の立地県(山口,大分,岡山,広島,和歌山など)がEF値で上位5県を占めるが,これらの県は都道府県別の総環境負荷量(EF×都道府県人口)でみると,人口規模が大きくないため9位以下になり,東京,神奈川,愛知,大阪などの大都市圏が上位を占めた。さらに,他地域での都市活動等が影響する産業によるエネルギー消費(CO<sub>2</sub>排出量)を47 都道府県の平均値を用いてEFを再評価した。そのEF値でみると,都道府県間の相違は減少したが,民生からのCO<sub>2</sub>排出量が多い北海道・東北地方,東京,中国地方,沖縄等のEF値が全国平均より高い傾向が認められた。その各都道府県のEF 値に都道府県人口を乗じて求めた総環境負荷量では,東京,神奈川,大阪,愛知,埼玉,北海道,千葉を初めとする人口規模の大きな都道府県で総環境負荷量が多いことを明らかにできた。</p>
著者
松本 高利 田辺 和俊 佐伯 和光 天野 敏男 上板 博亨
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.483-489, 1999-05-05
被引用文献数
8 11

プラスチック廃棄物のリサイクルには不可欠なプラスチックの非破壊判別手法を開発するために, 近赤外分光測定とニューラルネットワーク解析を組み合わせた手法を検討した. 最近のリサイクル法の施行で必要になっている多種類のプラスチックを迅速に判別するために, 収集した51種類のプラスチックの約300点の試料について波長1.3〜2.3μm領域の近赤外反射スペクトルを測定し, 二次微分処理したデータを3層構造パーセプトロンモデルのニューラルネットワークに入力してバックプロパゲーション法で学習を行った. 10種類のプラスチックについて2〜4個のデータを入力して判別テストを行った. その結果, 極めて少数の学習データを用いたにもかかわらず平均的中率として80%近い結果が得られ, 多種類のプラスチックを迅速に判別する手法を開発することができた. 本研究の手法を用いればプラスチック廃棄物のリサイクルに実用可能なプラスチック判別装置を開発できる可能性があることが分かった.