著者
平野 正広 秋山 純和 加藤 崇洋 岡庭 栄治 丸山 仁司 天野 裕之 鬼塚 史朗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.41-46, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
29

〔目的〕前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術の術後合併症に腹圧性尿失禁があり,その治療法にはPFMT(Pelvic Floor Muscle Training:骨盤底筋群トレーニング)がある.MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像)によってPFMT時の骨盤底部の運動変化を検討した.〔対象〕健常成人男性7名とした.〔方法〕PFMT方法は,「おしっこを止めるように」,「肛門を閉めるように」の2つの指示とし,MRIによる撮影を実施した.骨盤底筋群の収縮による運動変化を捉えるために,安静時と指示を与えた時で恥骨─尾骨先端(P-C)距離,床面-尾骨先端(F-C)距離,恥骨─膀胱頚部(P-B)距離を測定し比較した.〔結果〕P-C距離は減少し,F-C距離,P-B距離の増大する傾向を認めた.指示「おしっこを止めるように」でP-C距離は減少幅が大きく,指示「肛門を閉めるように」でF-C距離の増大幅が大きかった.〔結語〕MRIを用いてPFMT時の骨盤底部の運動変化を明らかにした.PFMT指導によるP-C距離の減少,F-C距離の増大は,男性における尿失禁治療のPFMT 指導方法に役立つことが示唆される.