- 著者
 
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             井上 創太
             
             太田 大樹
             
             田口 徹
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本基礎理学療法学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.25, no.1, pp.35-42, 2022 (Released:2022-10-17)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 36
 
          
          
        
        
        
        社会的敗北ストレス(以下,SDS)は痛覚過敏を惹起するが,その病態機構は未解明である。本研究では,SDS 誘発性疼痛の脊髄機構の解明を試みた。SDS 誘発性疼痛モデルは,Sprague-Dawley ラットに対し,体格の大きなLong-Evans ラットを直接および間接的に接触させて作製した。ホルマリンテストを用い,モデルラットの疼痛関連行動を調べた。また,ホルマリンによる痛み刺激後の脊髄ニューロンの興奮性を定量化するため,神経活性化マーカーであるc-Fos 陽性細胞のL3 ~L5 腰髄後角での分布と数を調べた。SDS モデルでは,ホルマリンテストの第Ⅱ相において疼痛関連行動が顕著に亢進し,侵害受容に重要な後角表層におけるc-Fos 陽性細胞数が増加した。これらの結果より,SDS 誘発性疼痛モデルラットでは痛み刺激に対する脊髄後角表層ニューロンの興奮性が増大し,これが疼痛関連行動の亢進にかかわると考えられた。