著者
太田 慎一郎 渡辺 昭典 徳永 博
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.77-81, 1957-02-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
8

1) m2は3齢起蚕において黒色鮮明な特有の斑紋を発現し, 分離系統においては同一蛾区の正常蚕の第3就眠に前後して熟眠となる。しかし超過脱皮をきたし三眠蚕となると斑紋は黒色減退し, 淡褐色味が加つてくる。2) m2は異常三眠蚕を生じ易い傾向があるが, この三眠蚕となつたものを用いると系統維持が容易である。3) m2で超過脱皮を行つたものの中にプロセテリー或いはメタセテリーを生ずることがしばしばある。また族中不脱皮斃蚕の多出すること等から考えると, m2は遺伝的ホルモン異常蚕とも考えられる。4) m2純系においては毛蚕の軽重によつて, その後の発育に影響があり, 毛蚕体重の軽いもの程異常三眠蚕を生じ易い傾向がある。5) m2の経過日数は11日前後のものが多く, 1-3齢間の生長率を支122号に対比するとm2は明らかに生長率が大きい。これは絹糸腺の肥大生長に伴う結果と考えられる。熟蚕の絹糸腺の形態は正常蚕の最終齢のそれと酷似している。6) 繭は体躯に応じて貧弱である。蛹は23℃ 保護下では14-16日で発蛾するが, 中には20日以上を要した個体もある。7) 蛾も非常に小さいが生殖力は完全でよく受精する。雌は造卵の絶対量が少なぐ, m2-IIでは30粒の受精卵を産下したものが最高で, m2-IIIでは50-200粒ぐらい産卵する。8) 二眠蚕 (m2) は四眠蚕に対し劣性として遺伝する。
著者
太田 慎一 伴場 裕巳 今井 幸紀 新井 晋 藤原 研司
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.253-263, 2002-03-05
参考文献数
90
被引用文献数
1

大腸癌の予防は重要な課題であり,この点でプロスタグランジン合成酵素であるCOX-2が注目を集めている.家族性大腸腺腫症ではヒトで有意の腺腫に対する退縮効果が報告された.しかしながらその作用機序に関しては現在も様々な議論がある,ヒトの癌においては臨床的展開が期待されると共に癌発生機構解明の手がかりを与えてくれる可能性のある分野であり,今後の発展が期待される.