- 著者
-
石橋 達也
形部 裕昭
早川 隆洋
太田 敬之
古川 安志
西 理宏
古田 浩人
赤水 尚史
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.9, pp.675-680, 2015-09-30 (Released:2015-09-30)
- 参考文献数
- 14
症例は46歳,女性.32歳よりうつ病で近医に通院中であった.35歳より2型糖尿病で治療を開始された.メトホルミン500 mg/日およびインスリン(1日70単位)による治療でHbA1c5.4 %であった.来院当日,自殺目的でリスプロ2100単位,グラルギン900単位を注射し,1時間後に救急搬送となった.遷延性低血糖に対応するため入院とし,食事および経口と経静脈でブドウ糖の投与を行った.来院時の血清インスリン濃度(IRI)が31975 μU/ml,6時間で20903 μU/ml,9時間で9370 μU/mlと低下,注射後141時間でブドウ糖投与を要しなくなった.持続血糖モニタリングでは血糖値の変化はブドウ糖投与による上昇と低下を繰り返し,急峻な鋸歯状波形を呈していた.IRIの経過は低血糖からの回復時期を予測する目安となり,血糖降下作用が続く期間では頻回の血糖測定が必要であると考えられた.