著者
菊池 蘭 伊藤 創馬 太田 美鈴 日高 慎二 瀧沢 裕輔 栗田 拓朗 中島 孝則
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】ベルソムラ錠の有効成分であるスボレキサントは、覚醒物質オレキシン受容体を可逆的に阻害する新しい作用機序の睡眠薬である。従来の睡眠薬に耐性ができた患者など広く使用されているが、服用直前にPTPシートから取り出すこととされており、一包化調剤は避けられてきた。そこで、ベルソムラ錠分包品の保存安定性について検討を行った。【方法】ベルソムラ錠をセロポリ製分包紙に分包し、シリカゲル入アルミ袋またはアルミ袋に入れ、25℃60%RHまたは40℃75%RHの条件下で保存した。また冷蔵庫での保存も試みた。4週間後、錠剤の質量、直径と厚みを測定すると共に溶出試験を行った。また各条件下で保存後のスボレキサント含量についてHPLCにて定量を行った。【結果】25℃60%RHならびに40℃75%RHの条件下において、分包後4週間でシリカゲル入アルミ袋に保存したものは錠剤の質量、直径と厚みが減少し、溶出速度の低下が認められた。これに対しアルミ袋中で4週間保存したものでは、やや質量の増加が認められたものの、溶出速度の変化は認められなかった。冷蔵庫内での保存においては、分包したまま保存したもの、アルミ袋中で保存したもの共に質量や溶出速度の変化は認められなかった。加えて、全ての保存条件においてスボレキサント含量の変化は認められなかった。【考察】ベルソムラ錠分包品はアルミ袋中に保存するか、冷蔵庫内で保存することにより安定であり、長期保存が可能であると考えられる。
著者
太田 美鈴 高橋 由里 深水 啓朗 伴野 和夫 岩田 政則 日高 慎二
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.425-435, 2010 (Released:2012-03-09)
参考文献数
8

Very little information is provided with OTC drugs and unlike prescription products,they do not have package inserts or interview forms.The purpose of this study was to examine the stability of 5 acetaminophen-containing OTC drugs by observing temporal changes in their characteristic physico-pharmaceutical parameters (hardness,mass,elution,drug migration) when they were preserved under conditions in which temperature and humidity were altered.From the results,it was assumed that 3 of the 5 drugs were affected by temperature and humidity,and that it was difficult to maintain stability when they were taken out of their packages.In particular,the drugs seemed to be more adversely affected the higher the temperature was and changes in parameters were greater.Also,the results of an elution test conducted after 24 hours of storage suggested that there was deterioration in 3 of the products.In conclusion,our findings clearly showed that patients need adequate explanation on how to keep OTC drugs.