著者
中島 孝則 岩田 政則 縄田 修一 齋藤 博 中村 有貴 小林 靖奈 山元 俊憲 松田 佳和 木村 正幸
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.702-707, 2012-11-10 (Released:2013-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

We tried to optimize the formulation for the hospital preparation of mianserin hydrochloride (MS) suppositories. MS as the raw material for the preparation was obtained from Tetramide tablets (MS-T), which were ground. The physicopharmaceutical properties of MS suppositories with bases of Witepsol H15 (H15), Witepsol W35 (W35) and Witepsol S55 (S55) were compared to choose the optimal base for the suppositories. The preparation strength correlated negatively among the three bases. The heat of fusion of MS-H15 suppositories was significantly low relative to MS-W35 and MS-S55 suppositories. The average drug release rate of MS-H15 suppositories exhibited the highest level on moment analysis. Comprehensive evaluation of the properties of MS suppositories, including the heat of fusion due to the solubility of the preparation and the drug release rate indicated that H15 was the optimal base for MS suppositories. Additionally, we examined the optimal mixing rate of ground MS-T and H15. The preparation strength positively correlated with an increased mixing rate of ground MS-T. The mean dissolution time (MDT) of suppositories was reduced with an increased mixing rate of ground MS-T. These results suggested that 0.10 g ground MS-T combined with 0.8 g H15 as the base was the optimal formulation for the hospital preparation of MS suppositories.
著者
大戸 智絵 栗田 拓朗 瀧沢 裕輔 中島 孝則
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】アトルバスタチン錠とエゼチミブ錠は脂質異常症に対して処方される薬剤であり、二剤を配合したアトーゼット®配合錠も処方される。しかし、それぞれ単剤については一包化調剤が可能であるが、配合錠では光及び酸化を避けるため服用直前にPTP シートから取り出すこととの指示があり、一包化調剤することができない。そこでアトルバスタチン錠5mg(アトルバスタチン錠)とアトーゼット®配合錠LD(配合錠)を一包化調剤し、曝光条件で保存した際の主薬安定性について比較検討した。【方法】5銘柄のアトルバスタチン錠ならびに配合錠をPTPシートから取り出し、無包装品、セロポリ分包品、遮光品をそれぞれ用意し、25℃、60%RHの条件下にて総照度が120万、240万lux・hrになるまで曝光した。保存後の錠剤より主薬を抽出し、HPLCにより含量測定を行った。【結果】アトルバスタチン錠について、無包装品ならびセロポリ分包品ともに曝光後の主薬の平均含量残存率は、銘柄間で若干の差違はあるものの95%以上であった。また、配合錠に含まれるアトルバスタチンの含量残存率も、無包装品およびセロポリ分包品ともに95%以上であった。各遮光保存品について、含量低下は認められなかった。同条件で保存した配合錠中のエゼチミブについても、含量低下は認められなかった。【考察】光安定性について、アトルバスタチン錠ならびに配合錠の両製剤間で差異は認められず、一包化後も同様の安定性を保っていると考えられた。今後、溶出性についても検討する予定である。
著者
菊池 蘭 伊藤 創馬 太田 美鈴 日高 慎二 瀧沢 裕輔 栗田 拓朗 中島 孝則
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】ベルソムラ錠の有効成分であるスボレキサントは、覚醒物質オレキシン受容体を可逆的に阻害する新しい作用機序の睡眠薬である。従来の睡眠薬に耐性ができた患者など広く使用されているが、服用直前にPTPシートから取り出すこととされており、一包化調剤は避けられてきた。そこで、ベルソムラ錠分包品の保存安定性について検討を行った。【方法】ベルソムラ錠をセロポリ製分包紙に分包し、シリカゲル入アルミ袋またはアルミ袋に入れ、25℃60%RHまたは40℃75%RHの条件下で保存した。また冷蔵庫での保存も試みた。4週間後、錠剤の質量、直径と厚みを測定すると共に溶出試験を行った。また各条件下で保存後のスボレキサント含量についてHPLCにて定量を行った。【結果】25℃60%RHならびに40℃75%RHの条件下において、分包後4週間でシリカゲル入アルミ袋に保存したものは錠剤の質量、直径と厚みが減少し、溶出速度の低下が認められた。これに対しアルミ袋中で4週間保存したものでは、やや質量の増加が認められたものの、溶出速度の変化は認められなかった。冷蔵庫内での保存においては、分包したまま保存したもの、アルミ袋中で保存したもの共に質量や溶出速度の変化は認められなかった。加えて、全ての保存条件においてスボレキサント含量の変化は認められなかった。【考察】ベルソムラ錠分包品はアルミ袋中に保存するか、冷蔵庫内で保存することにより安定であり、長期保存が可能であると考えられる。