著者
太田 道也 大谷 杉郎 飯塚 晋司 沢田 剛 小島 昭
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.6, pp.975-980, 1988

さきに報告した, ピレン, フェチントレン混合物を原料とし, ベンゼンジメタノールのジメチル置換体 (DM) を橋かけ剤とする COPNA 樹脂を用いて, 最高 2500℃ まで加熱し, 炭素化処理した。そのさいの樹脂の構造変化を調べ, DM 系樹脂の炭素化機構を PXG 系の場合と比較検討した。合成した DM 系樹脂は 120℃ で20時間硬化したのち, 200℃ で1時間後硬化し, これを炭素化の出発原料とした。加熱処理は, 窒素気流中で 1400℃ までは 5℃/minの昇温速度で, 1400 から 2500℃ までは 20℃/min で行なった。<BR>DM 系は PXG 系と異なり, 450℃ で完全に液化した。そして, この液相状態がみられる温度域では, 樹脂中に光学的に異方性を示す液晶部分, いわゆるメソフェーズが観察された。2500℃ までの各温度で加熱処理した樹脂炭の文線回折測定の結果, DM 系は典型的な易黒鉛化性挙動 (2500℃ 処理において, d<SUB>(002)</SUB>=0.336nm, Lc=33nm) を示すことがわかった。