著者
木下 覚 小山 博滋 小川 誠 太田 道人
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.243-246, 2000-02-28
参考文献数
3
著者
岩坪 美兼 太田 道人
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

わが国には、400品種以上のサクラ品種が知られている。わが国のサクラは,二,三,四倍体からなることが知られていたが,それらのほとんどが二倍体であることが判った。なお。シラユキ系里桜のウスズミ(薄墨),オキナザクラ(翁桜),カリギヌ(狩衣),それにシラユキ(白雪)は全て三倍体であった。また,松前に存在,もしくは松前で育成されたタカサゴ系のサトザクラは,チョウジザクラが片親になった雑種群として知られているが,これまでに染色体数が判明した品種は,タカサゴ(別名;ナデン,ムシャザクラ;高砂),ベニユタカ(マツマエベニユタカ;紅豊,松前紅豊),マツマエハヤザキ(ケチミャクザクラ;松前早咲,血脈桜)すべて三倍体であった。片親がシナミザクラ(四倍体)と考えられているマザクラ群のサトザクラのアマヤドリ(雨宿),アリアケ(有明),オオヂョウチン(大提灯),クルマドメ(車止),コマツナギ(駒繋),シロタエ(白妙),センリコウ(千里香),タイハク(太白),ダイミン(大明),マザクラ(真桜),マンゲツ(満月),ワシノオ(鷲の尾),それにカンヒザクラ群の染色体数が判明じたツバキカンザクラ(椿寒桜),ハツミヨザクラ(初御代桜),ミョウショウジ(明正寺),それにケイオウザクラ(敬翁桜)は,すべて三倍体であることが判明した。それに対してしかし,ヤマザクラ(オオヤマザクラを含む)群,カスミザクラ群,オオシマザクラの影響が認められるサトザクラ群,それにエド系のサトザクラ群には,三倍体が全く見つからなかった。シナミザクラを祖先とする三倍体グループを除いて,サクラの核群を比較すると,三倍体が多い群,僅かに存在する群,全く見つかっていない群が存在し,グループにより三倍体の出現率に違いが認められた。