著者
岩坪 美兼
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ウメは自家不和合性が強く、種子から育てると品種間の雑種となり、また花ウメには果実が稔らないものもあるために、接ぎ木で増殖が行われている。育種における交配には、有性生殖を行う必要があり、二倍体品種とそれ以上の倍数体を区別する必要があるために、染色体の観察を行った。実ウメ57分類群はすべて二倍体であった。花ウメ285分類群のうち、三倍体は10分類群、二倍体と三倍体の双方の系統が存在する品種が2分類群存在した。本研究により、通常見かけるウメ品種のすべてについて染色体数を明らかにした。
著者
池田 博 岩坪 美兼 矢野 興一 高山 浩司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

著しい種内倍数性を示すオミナエシ科オトコエシについて、細胞学的、系統地理学的解析を行った。日本および韓国で収集した試料を解析した結果、2倍体 (2n=22)から12倍体 (2n=132) まで連続した倍数体系列が認められ、遺伝的には 1) 九州西部から韓国に分布する系統 (2n=22)、2) 北海道から滋賀県まで分布する東日本系統 (2n=44)、3) 近畿地方から九州まで分布する西日本系統 (2n=66~132) の大きく3つのグループに分けられることが明らかになった。また、オトコエシとオミナエシの雑種とされてきた「オトコオミナエシ」は、オトコエシの種内倍数体間の交雑に由来すると考えられた。
著者
佐藤 杏子 竹内 秀敏 岩坪 美兼 佐藤 杏子 竹内 秀敏 岩坪 美兼
出版者
植物地理・分類学会 = The Society for the Study of Phytogeography and Taxonomy
雑誌
植物地理・分類研究 (ISSN:03886212)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.131-133, 2012-03

摘要 北海道松前町の松前公園・龍雲院にはシロバナタンポポが生育している。シロバナタンポポは本州(関東・北陸以西),四国,九州に自生し,東北以北では松前公園だけに存在することから移入されたと考えられている。シロバナタンポポには,四倍体 (2n=32)と五倍体(2n=40)があり,五倍体には核型の異なる2型 (Type I, TypeⅡ)が存在することが知られていることから,松前公園のシロバナタンポポがどのタイプかを明らかにするために,種子から育てた2個体について染色体観察を行った。その結果,松前公園のシロバナタンポポは五倍体(2n=40)であり,核型はSato et al. (2011)で報告した五倍体の2つの型の内のType Iであることが判った。
著者
池田 博 岩坪 美兼
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バラ科キジムシロ属キジムシロ群に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこなった。解析の結 果、1) キジムシロ群植物は全て 2 倍体(2n=14)である、2) P. freyniana var. sinica は、別の種 として取り扱うべきである、3)ヒメツルキジムシロは雑種ではなく、独立した種と考えられる ことが判明し、4) P. koreana とキジムシロ、ヒメキジムシロとテリハキンバイとの雑種を見出 した。
著者
岩坪 美兼 太田 道人
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

わが国には、400品種以上のサクラ品種が知られている。わが国のサクラは,二,三,四倍体からなることが知られていたが,それらのほとんどが二倍体であることが判った。なお。シラユキ系里桜のウスズミ(薄墨),オキナザクラ(翁桜),カリギヌ(狩衣),それにシラユキ(白雪)は全て三倍体であった。また,松前に存在,もしくは松前で育成されたタカサゴ系のサトザクラは,チョウジザクラが片親になった雑種群として知られているが,これまでに染色体数が判明した品種は,タカサゴ(別名;ナデン,ムシャザクラ;高砂),ベニユタカ(マツマエベニユタカ;紅豊,松前紅豊),マツマエハヤザキ(ケチミャクザクラ;松前早咲,血脈桜)すべて三倍体であった。片親がシナミザクラ(四倍体)と考えられているマザクラ群のサトザクラのアマヤドリ(雨宿),アリアケ(有明),オオヂョウチン(大提灯),クルマドメ(車止),コマツナギ(駒繋),シロタエ(白妙),センリコウ(千里香),タイハク(太白),ダイミン(大明),マザクラ(真桜),マンゲツ(満月),ワシノオ(鷲の尾),それにカンヒザクラ群の染色体数が判明じたツバキカンザクラ(椿寒桜),ハツミヨザクラ(初御代桜),ミョウショウジ(明正寺),それにケイオウザクラ(敬翁桜)は,すべて三倍体であることが判明した。それに対してしかし,ヤマザクラ(オオヤマザクラを含む)群,カスミザクラ群,オオシマザクラの影響が認められるサトザクラ群,それにエド系のサトザクラ群には,三倍体が全く見つからなかった。シナミザクラを祖先とする三倍体グループを除いて,サクラの核群を比較すると,三倍体が多い群,僅かに存在する群,全く見つかっていない群が存在し,グループにより三倍体の出現率に違いが認められた。