著者
太田 龍一 金子 惇
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.143-149, 2017-09-20 (Released:2017-09-29)
参考文献数
19

目的:日本において人口の高齢化に伴う住民の健康問題の変化を調べた研究はない.プライマリ・ケア国際分類第2版(ICPC-2)によって明らかにされた現在の健康問題と先行研究を比較しその変化を考察する.方法:沖縄県離島で後ろ向きオープンコホート研究を行い受診患者すべての健康問題についてICPC-2を用いて集計した.また1990年に出版されたプライマリ・ケア健康問題国際分類注解第2版(ICHPPC-2 defined)を用いた同地域の健康問題のデータと比較検討した.結果:1年間で4660件の受診があり,15歳未満が826件,15-64歳が2146件,65歳以上が1688件であった.本研究は先行研究と比較しL筋骨格,S皮膚,A全身及び臓器が特定できないものの頻度が高かった.本研究で診療の包括性の指標である全健康問題の上位50%以内に含まれる健康問題の種類が多かった.結論:本研究において沖縄県の離島診療所では整形疾患や皮膚疾患へのニーズが高まり,診療の包括性が高まっていることが示唆された.
著者
太田 龍一 向山 千賀子 福澤 康典 森脇 義弘
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.21-26, 2017-03-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
14

目的:小児喘鳴発作とサトウキビ製糖作業との関係性を検討する.方法:沖縄県南大東島の幼稚園,小中学校に通学する全児童167人を対象に,喘鳴発作を含めた毎日の症状の有無を前向きに収集した.喘鳴発作の発生率を2ヶ月ごとに算出し通年変化を検討した.また喘鳴発作の有無を従属変数とし,児童の背景因子を独立変数とするロジスティック回帰分析を行った.結果:チェックシート回収率は62.5%,年齢の中央値は7.5歳,男女比は8:7,喘息既往者は36%であった.製糖作業期間である1-3月における喘鳴発作発生率はそれ以外の期間より有意に高かった.喘息の既往のない小児においても一定数の喘鳴発作がみられた.結論:小児喘鳴発作発生率の増加とサトウキビ製糖作業の関係性が示唆された.