著者
倉島 尚男 奥田 真央
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P3431-C3P3431, 2009

【はじめに】<BR> 平成20年3月20日から28日に行われた長野県サッカー協会主催の高校選抜サッカーチームドイツ遠征に帯同する機会を得たためここに報告する.<BR><BR>【遠征目的】<BR> 遠征は、長野県サッカーの発展と競技力向上のため県内高校生の優秀選手をドイツへ派遣する事で競技力向上を図り、また将来、大学・社会人・Jリーグ等で活躍する選手の養成を目指し、併せてその動機付けを目的として行われた.<BR> <BR>【遠征概要】<BR>派遣先はドイツで、バイエルンミュンヘン・1860ミュンヘン・シュツットガルト他計5試合が行なわれ、期間中ドイツサッカー協会S級ライセンスを持った現地プロコーチによるトレーニングが行われた.選手は18名(GK2名、フィールド16名)で、監督他スタッフ含め合計27名の編成であった.今回の遠征は、長野県サッカー協会主催で、遠征前・中の活動内容における公表の同意を得ている.<BR><BR>【サポート目標】<BR>目標を「全選手試合を欠場する事なく遠征を終える」事とし、サポートとして障害を持った選手、急性外傷、外傷後復帰、疲労の4項目を中心に行った.「障害を持った選手」に対して、遠征前練習会でチェックシートを配布し、重症度分類した上で状態把握を行い、必要な選手にはトレーニング等指導した.遠征中は状態に合わせコンディショニング調整・テーピング・動作指導を行った.「急性外傷」に対して、練習・試合中に発生した傷害に対し現場での受傷部位の評価を行い、RICE処置、テーピング等行った.「外傷後復帰」に対して、処置後の状況に合わせコンディショニング調整、テーピング等行い、選手・監督と相談し練習・試合参加の可否を判断した.「疲労」に対して、事前にマニュアルを配布し個人でのセルフケアを促し、遠征中はチェックシートにて状態把握に努め必要な選手にはストレッチ・マッサージ等行った.<BR> <BR>【遠征中サポート内容】<BR>現地サポート期間は3月21~27日の7日間.延べ人数は50名(実質11名、1日平均7名).サポート内容はテーピング、RICE処置、コンディショニング調整、筋力訓練、動作指導等.疾患の種類(件数)は、打撲(5)、足関節捻挫(3)、肉離れ・腰痛(2)、マメ・疲労・分裂性膝蓋骨(1)であった.<BR> <BR>【考察】<BR> 全選手全試合出場という目標は、一選手一試合欠場という結果で達成は出来なかったが大きな傷害なく選手が戻って来られた事は十分な結果ではないかと思われる.今回病院を離れスポーツ現場での活動を行う事で自分自身の足りない点や実際の現場で求められる知識・能力を肌で感じる事が出来た事は貴重な経験であった.今回は選抜選手ではあったがセルフケア・知識が不十分な選手もおり、また障害を抱えている選手もコンディショニング調整が中心となり、動きの中での評価や動作指導が十分出来ていない場合もあり理学療法士が現場に出て行く事、現場で評価・指導する事の重要性を感じた.
著者
青木 啓成 児玉 雄二 小池 聰 長崎 寿夫 山岸 茂則 奥田 真央 谷内 耕平
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0312-C0312, 2006

【目的】長野県理学療法士会社会局スポーツサポート部では長野県高校野球連盟の依頼により、1999年より硬式野球大会のメディカルサポート(以下サポート)を開始し、2000年より全国高等学校野球選手権長野大会(以下長野大会)一回戦よりサポート体制を整備した。また、硬式・軟式の他公式戦のサポートも開始し、長野県の高校野球選手の傷害予防とコンディショニングに取り組んできた。今回は第87回硬式長野大会のサポート結果を分析し、1回戦からのサポート体制の必要性を明確にすることを目的とした。<BR>【長野県高校野球サポート体制】硬式は長野県下の6球場に、軟式は2球場に原則1日2名の理学療法士(以下PT)を配置し、硬式・軟式の長野大会・県大会サポートを行った。内容は選手への個別対応を原則とし、試合後のチームごとのクーリングダウンなどは行わなかった。参加PTはスポーツサポート部高校野球部門に登録した63名であり、大会事前研修は年2回実施した。研修は障害特性を考慮し、補助診断として肩関節の理学所見を中心に研修を行い、専門医の受診を推奨できるようにした。また、ストレッチ・テーピング等の実技研修も行った。<BR>【対象・方法】調査大会は、第87回硬式長野大会に参加した98校を対象とした。同大会のサポート結果を集計し、大会ベスト16前・後(以下B16前・後)の選手の利用状況と障害の特徴とサポート内容について調査し、大会期間中のサポート体制について検討した。<BR>【結果】球場のサポート室を利用した選手は延べ78名、同大会参加PTは延べ74名であった。全体のサポート実施時期は試合前22件、試合中16件、試合後39件で試合後の利用が多かった。症状は急性期41件、亜急性期20件、慢性期19件であり、主訴は安静時痛16件、運動時痛54件、疲労21件で急性期・運動時痛への対応が最も多い傾向にあった。利用・治療回数は1回が65件、2回10件、3回3件であった。障害部位は肩関節23件、腰背部12件、次いで肘関節、足関節、大腿・下腿の順に多い傾向であった。治療内容はストレッチ33件、テーピング29件、アイシング26件であり、コンディショニング指導が40件であった。B16前後で比較すると試合後利用は圧倒的にB16前に多く59%、主訴に関しては安静時・運動時痛に差はないものの疲労がB16前26%、B16後14%であった。<BR>【考察】選手の利用時期はB16前の利用者が圧倒的に多いことから、一回戦からのサポート体制の妥当性と重要性が示唆された。障害部位は過去の実績同様、肩関節、腰背部障害が多く、障害特性となっている。B16前の急性期症状・疲労が多いことは慢性・陳旧性障害が大会前に悪化、または再発している可能性も考えられる。以上により、的確なサポートを実施するために、補助診断としての理学所見が必要であり、さらには、大会期間中のみでないサポートやメディカルチェックの検討が必要であると考えられた。<BR>