著者
小林 真 南谷 幸雄 竹内 史郎 奥田 篤志 金子 信博
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.39-42, 2015 (Released:2017-07-20)

北海道北部の銅蘭川中流部において,初冬期に河川水に大量に出現した陸棲ミミズの種構成を調べた.河川水中で発見された個体の全てがフトミミズ科で表層性のヒトツモンミミズ成体であった.一方,同時期に河畔の森林土壌ではツリミミズ科で地中性のバライロツリミミズが優占していた.これらの結果は,初冬期に道北地域の森林土壌から河川水中に一斉に移動するが,移動をするのは特定のミミズ種に限られる事を示唆する.
著者
中野 繁 夏目 俊二 林田 光祐 奥田 篤志
出版者
北海道大学演習林
雑誌
北海道大学演習林試験年報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.14-15, 1991-03

森林の構造(種構成やサイズ構成等)はそこに生息する野生生物群集の種構成や個体数を決定する大きな要因となっている。また、この群集中の様々な種の野生動物が、それぞれ異なったやり方で生息場所としての森林を利用している。よって、森林に生息する野生動物の保護を図るためには、ある森林の持つ構造とそこに生息する動物群集の対応関係を探ると同時に、ある対象とする動物の生活史の様々な側面における森林の利用様式を明らかにしてゆくことが重要である。今回の報告では、代表的な森林棲動物であるエゾモモンガをとりあげ、その森林の利用様式と保護の方向について簡単に述べてみたい。 モモンガは、温帯北部の森林地帯に生息する中型の齧歯類で、わが国では北海道にエゾモモンガ (Pteronys volans orii) が、本州以南にホンシュウモモンガ (P. momonga) が生息する。モモンガの、採餌、休息そして繁殖等の活動はすべて樹上で行われ、その生活は大きく森林に依存している。近年のわが国における急速な森林環境の破壊は典型的な樹上生活者である本種の生息にとって深刻な影響を与えつつあると考えられ(近藤、1988)、破壊の著しい地域においては生息数の激減および絶滅が憂慮されている。本種の保護を図るためには本種の生息場所(森林)の利用様式を明らかにし、その生息に不可欠と考えられる環境条件を保全してゆくことが必要であると考えられる。しかしながら、本邦産のモモンガの生態については、食性や飼育条件下における活動時間などに関する断片的な知見を除いてほとんど明らかにされていない(合田、1957 ; 手塚、1959 ; 藤巻、1963)。