著者
早尻 正宏 夏目 俊二
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション
雑誌
北海道大学演習林研究報告 (ISSN:13470981)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-10, 2012-05

近年では、馬搬作業は、木材搬出過程の機械化に伴いほとんどみられなくなったが、東北地方や北海道において、その技と知を地域の森林文化・馬事文化として位置付け、技能継承を図る取り組みが進められつつある。本稿では、技能継承を今後進めていくうえで必要な基礎資料の提供を目的に、北海道木古内町と上ノ国町における馬搬作業の展開事例を検証した。その結果、馬搬作業は、搬出路開設の必要がなく林地や立木にダメージを与えにくい環境保全的な集材方法であること、小規模な伐採現場ではトラクタを使用した場合に比べてコスト面で有利となる可能性が高いことが明らかとなった。今後、森林地域の貴重な文化でもある馬搬技能の継承に向けては、馬搬作業が引き続き取り組まれている地域間で人的交流と情報交換を進めていくことが必要であろう。
著者
中野 繁 夏目 俊二 林田 光祐 奥田 篤志
出版者
北海道大学演習林
雑誌
北海道大学演習林試験年報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.14-15, 1991-03

森林の構造(種構成やサイズ構成等)はそこに生息する野生生物群集の種構成や個体数を決定する大きな要因となっている。また、この群集中の様々な種の野生動物が、それぞれ異なったやり方で生息場所としての森林を利用している。よって、森林に生息する野生動物の保護を図るためには、ある森林の持つ構造とそこに生息する動物群集の対応関係を探ると同時に、ある対象とする動物の生活史の様々な側面における森林の利用様式を明らかにしてゆくことが重要である。今回の報告では、代表的な森林棲動物であるエゾモモンガをとりあげ、その森林の利用様式と保護の方向について簡単に述べてみたい。 モモンガは、温帯北部の森林地帯に生息する中型の齧歯類で、わが国では北海道にエゾモモンガ (Pteronys volans orii) が、本州以南にホンシュウモモンガ (P. momonga) が生息する。モモンガの、採餌、休息そして繁殖等の活動はすべて樹上で行われ、その生活は大きく森林に依存している。近年のわが国における急速な森林環境の破壊は典型的な樹上生活者である本種の生息にとって深刻な影響を与えつつあると考えられ(近藤、1988)、破壊の著しい地域においては生息数の激減および絶滅が憂慮されている。本種の保護を図るためには本種の生息場所(森林)の利用様式を明らかにし、その生息に不可欠と考えられる環境条件を保全してゆくことが必要であると考えられる。しかしながら、本邦産のモモンガの生態については、食性や飼育条件下における活動時間などに関する断片的な知見を除いてほとんど明らかにされていない(合田、1957 ; 手塚、1959 ; 藤巻、1963)。
著者
早尻 正宏 夏目 俊二
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション
雑誌
北海道大学演習林研究報告 (ISSN:13470981)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-10, 2012-03

近年では、馬搬作業は、木材搬出過程の機械化に伴いほとんどみられなくなったが、東北地方や北海道において、その技と知を地域の森林文化・馬事文化として位置付け、技能継承を図る取り組みが進められつつある。本稿では、技能継承を今後進めていくうえで必要な基礎資料の提供を目的に、北海道木古内町と上ノ国町における馬搬作業の展開事例を検証した。その結果、馬搬作業は、搬出路開設の必要がなく林地や立木にダメージを与えにくい環境保全的な集材方法であること、小規模な伐採現場ではトラクタを使用した場合に比べてコスト面で有利となる可能性が高いことが明らかとなった。今後、森林地域の貴重な文化でもある馬搬技能の継承に向けては、馬搬作業が引き続き取り組まれている地域間で人的交流と情報交換を進めていくことが必要であろう。