著者
二橋 文哉 北原 佳泰 村上 有里奈 岸本 祐太郎 青野 祐也 永福 建 右藤 智啓 佐藤 潤 妹川 史朗 須田 隆文
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.81-84, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
14

呼吸不全を呈した加湿器肺3例の臨床像について後方視的検討をおこなった.全例新規に購入したしずく型の超音波式加湿器を,水を交換せずに注ぎ足して使用し,使用開始後3 ヶ月以内に発症していた.初診時のPaO2/FiO2の中央値は164(104-293)であり,1例で非侵襲的陽圧換気,1例でhigh flow nasal cannula,1例は通常の経鼻カヌラを使用した.胸部CTで,小葉中心性粒状影が主体であった例は無く,浸潤影,すりガラス影が混在し,器質化肺炎との鑑別を要するパターンが認められた.加湿器の使用中止とステロイド投与で全例改善した.加湿器の水のβ-Dグルカンとエンドトキシンはいずれも高値であり,加湿器の水の培養でグラム陰性桿菌,真菌や非結核性抗酸菌(Mycobacterium gordonae)が検出され,病態への関与が推察された.急性~亜急性経過の間質性肺炎の診断において,冬季には,加湿器肺も念頭においた詳細な問診が必要である.
著者
吉富 淳 高橋 毅 佐藤 篤彦 中村 浩淑 妹川 史朗 須田 隆文 千田 金吾
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.150-153, 1998-03-25 (Released:2016-10-01)
参考文献数
10

アルカリ性洗浄剤の誤嚥による気道浮腫の気管支鏡所見を経時的に観察しえた。症例は89歳女性で, 1996年6月17日に自殺企図にて家庭用洗浄剤ドメスト^[○!R](pH約12, 1%水酸化ナトリウム, 5%次亜塩素酸塩を含有)を飲み嘔吐, 誤嚥をきたし, 3時間後に当院救急外来を受診した。気管支鏡検査では, 咽喉頭から気管支までの粘膜の著明な発赤, 浮腫と白苔の付着を認めた。声門が開存していることから, 気管内挿管はせず様子をみた。翌日の気管支鏡検査では気道内に白色粘稠分泌物が増加しており, 中枢気道粘膜の生検では粘膜下にリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤が存在した。bronchial toiletを施行し, ステロイド, 抗生物質, H2ブロッカーの投与等を行い, 気道閉塞や食道狭窄に陥ることなく軽快した。