著者
大垣 哲朗 小室 史恵 宅島 章 吉水 浩 満園 良一
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.99-106, 1990-03-28
被引用文献数
3

中高年婦人を対象とした健康づくり運動教室に, 4年間継続して参加してきた主婦8名(継続群 : 49±6歳)と1年間参加しその後中断した主婦9名(中断群 : 48±8歳)について, この4年間の血清脂質の動態を検討した。健康づくり運動教室は, エアロビック・ダンスを主体とし, 一回あたり90分(主運動は35〜45分間)の割合で週2回実施してきた。その結果担, 以下のとおりである。1.総コレステロールは, 運動継続群・中断群ともに年月の経過とともに上昇傾向を示し, 運動教室巨開始から2年経過した時点以降は両群ともに有意な上昇であった(p<0.05〜P<0.01)。2.HDLコレステロールは, 運動継続群・中断群ともに年月の経過とともに減少傾向を示し, 運動開始から3年後以降に有意な低下であった(p<0・.05)。また, HDLと総コレステロールの比(HDL/T-ch)も, 両群ともに年月の経過とともに減少傾向を示し運動開始から2年後以降は有意な低下であった(p<0.05〜P<0.01)。3.トリグリセリドは, 両群とも大きな変動が認められなかった。総脂質は, 運動開始から4年後に有意な増加であった(p<0.05)。4.総コレステロール, HDLコレステロール, HDL/総コレステロール, トリグリセリドおよび総脂質のどの項目においても, またどの測定時点においても, 運動継続群と中断群で有意な差異は認められなかった。5.これらの結果は, 運動が血清脂質にマイナスの効果をもたらした, ということを示したものではないくそれは, 本健康づくり運動教室の血清脂質に及ぼす影響が顕著なものではなかったこと, 閉経期前後の中高年婦人の場合, 加齢あるいは閉経にともなうホルモンバランスなどの影響が大きいこと, を示すものであると考えられた。6.したがって, 若い被験者や短期間のトレーニング実験の結果を, そのまま中高年婦人や長期間の健康づくり運動教室の効果まで拡大解釈すると, 過大評価する可能性があり, 慎重な対応が必要であると言える。
著者
宅島 章 浜田 臣二 増田 卓二 洪 進勺 山坂 匡弘 草野 憲子 羽多野 慶美 山下 雄三
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学健康・スポーツ科学センター研究紀要 (ISSN:13463055)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.17-24, 2001-12

韓国の都市部と農村部に居住する男子中学生40名を対象に, 日常生活における身体活動水準が体組成や最大酸素摂取量に及ぼす影響について調査検討を行った。その結果は, 次のとおりである。1.身体組成と最大酸素摂取量の平均値を都市部と農村部で比較してみると, 体重と除脂肪体重において都市部が有意に(p<0.05)高かった。しかし, 体脂肪率と最大酸素摂取量には有意な差は認められなかった。2.起床から就寝までの各時間帯における平均心拍数を比較してみると, 都市部は9 : 00から11 : 59までの時間帯のみに高い値(p<0.001)を示したが, 他の時間帯はいずれも農村部が高い値を示し, 昼休みの時間帯以外には有意な差(p<0.001)がみられた。3.日常生活における身体活動時の運動強度の分布をみると, 最も軽いLLRに都市部は73.6%, 農村部は88.4%, 健康づくりに適したFLRには都市部が23.2%, 農村部は11.2%で, 強い運動強度であるHLRは都市部3.2%, 農村部0.4%という分布状況であった。以上のことから, 身体組成や最大酸素摂取量においては, 都市部と農村部との間には有意な差は認められなかった。また, 日常生活における身体活動水準を時間帯で比較してみると, 農村部が都市部に比べやや高かったが, 起床から就寝までの全体を比較してみると現段階では明らかな差はみられず, 両群とも適正な運動水準の域には達していない, 低いレベルにあることが分かった。さらに, 都市部においては痩せと肥満の二極分布がみられ, 食生活と身体活動のアンバランスな生活者が農村部より多いことが分かった。日常生活の利便さは, 今後益々各家庭に浸透していくことが予想される。したがって, 身体活動水準の低下に伴う低体力者は中学生にも増加する事が当然考えられる。今後も本研究を継続し, 運動不足による生活習慣病を未然に防ぐために, 青少年に適正な日常の身体活動水準を維持するよう警鐘を促したい。なお, 本論文は第6回東アジア運動・スポーツ科学研究会にて, 口頭発表したものを論文としてまとめたものである。