著者
宅間 雅哉
出版者
山梨英和学院 山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A9-A40, 2011 (Released:2020-07-20)

古英語hamm はイングランドの地名を構成する重要な要素の一つで,「囲い地」「河畔の低地草地」「突起地形」「河川の湾曲部」「島状・谷状地形」を意味する.この古語に由来する地名は,通常語末の綴りが-hamとなり,大半がイングランド南部,とりわけ南東部と南西部に多く分布する.ただ多義的であるが故に,hammがいかなる意味で語源に関与するかによって,これらの地名は異なる分布状況を見せる.また初期には「河川の湾曲部」「河畔の低地草地」の意味で関与する場合が多いが,最盛期には「囲い地」の意味で関与するものが過半数を占める.文献初出年の新旧によって分布の推移を追跡すると,まず南東部に最初の分布が見られ,続いて中西部,中東部,南西部の順で分布域が拡大する.この推移は,『アングロサクソン年代記』に記されたウェセックス王国の版図拡大史にほぼ一致する.
著者
宅間 雅哉
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.95-107, 2013

<p> イギリス地名協会による『イングランド各州地名要覧』(以下,『要覧』)から気候地名を収集し,地名に反映された気候要素ごとに,イングランド全土の分布図を作成するというプロジェクトにおける最初の成果報告として,本稿では南東部のSurrey 及びSussex を扱った.『要覧』に示された語源情報,地名の古形,解説等を根拠として,計106 の地名を気候地名と判断した.日照・日射に関する地名及び寒暖に関する地名が最も多く,ともに31 例であった.ただし後者には「暖」を意味する地名は1 例も見られない.続いて季節に関する地名24 例,乾湿に関する地名13 例,風に関する地名7 例となる.今回の調査で,新たに「洪水」「虹」「露」「荒天」「風車」の意味が語源に反映された地名を確認した.分布図の比較では,日照・日射に関する地名と季節に関する地名に興味深い傾向が見られた.また今後の研究発展のため,気候地名の定義を再検討する必要性を論じた.</p>
著者
宅間 雅哉
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.113-135, 2005-12

本稿では、第四十四回衆議院議員選挙の結果が、オーストラリア国内の新聞によってどのように報道されたかを比較し、検討する。扱うのは現地時問2005年9月13日付けのAustralian、Australian Financial Review、Daily Telegraph、Sydney Morning Herald四紙で、選挙結果を扱ったそれぞれの記事と社説を対象とする。記事については、選挙結果を総合的に理解する上で重要な7項目を比較の基準として、共通点・相違点等を検討する。また、社説については、それぞれの特徴と主張を概観する。